今年はまだ花をつけない庭の老梅を見上げて、殿岡茂十（中村勘三郎）は憂鬱だった。会社で定年退職を言い渡されたからだ。このことは長年連れ添った妻の知子（山岡久乃）にもなかなか打ち明けられない。茂十は気持ちのもやもやをおさめるために知子と二人で京都旅行をすることにした。しかし、行った先の旅館の芸者遊びでハメをはずしてしまい、翌朝、知子は大恥をかいたと言って激怒し、茂十を置いて先に帰宅してしまう。その後、知子の後をを追うように帰宅した茂十は一人旅はつまらなかったとわびるのだった。二人で見上げた庭の梅には一輪の花がほころんでいた。【以上、TBSチャンネル広報資料より引用】