石原裕次郎のテレビドラマ初主演作で、裕次郎の兄・石原慎太郎の同名原作を実写化したヒューマンドラマ。高村家のお抱え運転手・鉄哉はガレージに入ってきた主家の息子・俊夫の目が少し腫れていることや、何度もつまずく様子に懸念を抱いた。鉄哉の悪い予感は当たり、俊夫は脳腫瘍と診断され緊急の手術が行われることに。術後の経過も良好と思えたある日、鉄哉は偶然入った看護師の詰所で俊夫の病状は絶望的な状態で手術も気休めに過ぎないと言う話を聞いてしまう…。【以上、チャンネルNECO広報資料より引用】「石原裕次郎が六年ぶりにドラマ出演する。まだナマ放送しかなかったころの日本テレビ『ダイヤル110番』（1958年2月）いらい、テレビ・ドラマはすっかりごぶさたしていたが、演出の島田親一にくどかれてやっと出演が実現した。原作は石原慎太郎。脚色は山中恒。この「小さき闘い」は、一千万人の劇場第一回作品に予定されていたが、原作者と脚色者の意見調整に時間がかかり、いったん延期され、その後了解がついて録画された。アクションものでなく、脳腫瘍の少年と、おかかえ運転手の友情を、死とのたたかいの過程を通して描き出そうというもの。先ごろまで日本テレビ「今晩は裕次郎です」に出演していたのでカメラのフレームにとまどうことはないが、テレビ・ドラマのとり方が細かく分割してとるようになったので「映画的になってきましたね」ともらしていた。◇あらすじ　高村家の三人の兄弟の中で、俊夫（池田秀一）だけがどうして鉄哉（石原裕次郎）と親しくなったか分からない。おかかえ運転手と主家の息子というだけの関わり合いでしかない二人の兄弟に比べて、俊夫の熱中している星の観測のせいで、鉄哉と俊夫はお互いに顔を合わせる機会が多かった。ある日「レンズをふく布をくれ」といった俊夫のマブタが少し垂れ下がっているのに鉄哉は気がついた。そして診断の結果は脳腫瘍と分かった…。その日から二人の戦いが始まる。【この項、読売新聞1964/05/05付より引用】」一部資料では、1964/04/01放送と記載されているが誤り。同じ番組枠「一千万人の劇場」で1964/12/23に再放送された。「脚本担当は、映画版『敗れざるもの』と同じ山中恒さん。出演者では、高村家の年配のお手伝いさんに扮しているのが田中筆子さんで同じ役柄ですが、名前が違います。映画版では加代。また、巻頭、石原裕次郎さんが歌う鼻歌は“旅姿三人男”の一節、高村俊夫に聴かせてやる歌は“草原情歌”の一節。【この項、文：市村靖介】」協力：石原プロモーション。【演技者…役名（解説）】「●石原裕次郎…橋本鉄哉（高村家のお抱え運転手）、●池田秀一…高村俊夫（脳腫瘍に冒される中学二年生の少年）、●水戸光子…高村和子（高村俊夫の母親）、●三津田健…塩見教授（高村俊夫の手術を行なう脳外科医）、●夏川大二郎…高村圭吾（高村俊夫の父親）、●富田浩太郎…木崎（高村俊夫を往診する高村家のかかり付けの医師）、●佐竹明夫…沖山（塩見教授の助手）、●川口知子…三好（高村俊夫を担当する脳神経外科の看護婦）、●永田光哉…若い医師、●日高ゆりえ…脳神経外科の年配の看護婦（婦長？）、●田中筆子…キヌ（高村家の年配のお手伝いさん）、●遠藤慎子…カネ（高村家のお手伝いさん）、●小山弓…〔アイダ〕（木崎医師に同行している看護婦）？、●小石真喜…高村家の若いお手伝いさん？。田中筆子さんと遠藤慎子さんの役名の漢字表記は不明ですが、高村夫人から呼ばれるのは“キヌさん”“カネさん”ですので、愛称みたいなものだと考えてカタカナ表記としました。日高ゆりえさんと遠藤慎子さんの役柄は、年令から推察しています。小山弓さんと小石真喜さんは、役が逆かもしれませんが、大きく写ってセリフが一つあるほうが先にクレジットされているのではないかと推察しています（笑）。【この項、文：市村靖介】」【データ協力：NAOさん、市村靖介】