久世光彦の演出デビュー作だったというが、オンエアされずオクラ入りしたという。「入社３年目に、自ら企画して初めて１時間ドラマを撮った。タイトルは『会依子（えいこ）』。ところが試写を観た上司から、「内容が難解すぎる」と判断され、放送されなかった。幸運にも、この幻のデビュー作を見ることができた。先に感想を言うと、これは観念が先走った心理劇であり、不条理ドラマである。しかも、禁断の愛やピストル自殺といった、当時としては過激であっただろう描写があったり、伝書鳩を溺愛する老人、顔面がただれた婦人、松葉杖で歩く花屋、黒い眼帯をつけた孤児院の女事務員、といった怪しげな人物も出てくるなど、描かれる世界はかなり異様で、コメディの匂いはまったくない。【この項、「「時間ですよ」を作った男　久世光彦のドラマ世界」（2007年、加藤義彦・著、双葉社刊）より引用】」「日本映画女優全集」（キネマ旬報社刊）の「岸田今日子」の項目では1964年作品と記載されている。【参考文献：「「時間ですよ」を作った男　久世光彦のドラマ世界」（2007年、加藤義彦・著、双葉社刊）、小林竜雄著「久世光彦vs.向田邦子」（2009/02/28、朝日新書、朝日新聞出版刊）】