フルーツシリーズの第７弾で唯一の時代劇。足軽藤吉郎（山口崇）の出世を支える、女房ねねの物語。【以上、「向田邦子全仕事」（東京ニュース通信社刊）より引用】フルーツシリーズ初の時代劇。清洲城下きっての才女兼備のねね（林美智子）が、身分も低く容貌もパッとしない足軽・藤吉郎（山口崇）を天下人に仕立て上げた「亭主教育の八カ条」をコミカルに描く。【この項、チャンネルNECOサイト記事より引用】「この〝シリーズ〟では、初の時代劇。ドラマの設定、コスチュームはまさに戦国時代だが、目をつぶってセリフだけを聞くと、まさに現代のイキイキとしたホームドラマである。しかも思わず吹き出したくなる笑いと皮肉たっぷりなセリフが、随所に出てくる。思いきった脚本（早坂暁、水科一郎、掛札昌裕）と、豪快な演出（田中利一）で楽しめる作品となっているが、才走り過ぎて、ドラマの〝ぜい肉〟がやたらに目につくのもいなめない。あまり度を越すと、単なる風俗劇に終わる恐れも出てくる。「太閤記」に材をとり、若き日の秀吉・木下藤吉郎（山口崇）とその妻ねね（林美智子）が主人公。〝戦国ホームコメディー〟と銘うっただけに、のちの北政所となるねねに視点を置いた〝女房太閤記〟の筋立てである。サルといわれた夫・藤吉郎を、いかに天下人（てんかびと）に仕立て上げていったか、現代サラリーマン女房が、亭主のしりをひっぱたいて、出世街道を歩ませるのと相通ずるテーマだ。第一話は、織田信長の清洲城下で才色兼備と大評判のねねが、言い寄る多勢の武士の中から婿選びする。最後に残るのが、美男のほまれ高い前田犬千代（石立鉄男）とサルこと藤吉郎。ねねは思案にあまったが、そのとき起こる桶狭間の一戦。出陣する両人に「死んだ男は亭主にできぬ」と言い放つ。「嬶（かかあ）役は、この人が適役」（田中利一談）として起用された林美智子、二枚目のマスクで三枚目をやる山口崇ともどもおおらかに演じており、森川信、宝生あやこ、吉沢京子ら共演者も演技がどうこういうより、お互いに楽しんでやっている。色もきれいで、小道具などにも神経の行き届いたドラマである。それにしても、女性陣のナギナタのけいこで、男の急所をねらう〝マタスクイ〟なる術のカメラワークは傑作。【以上、読売新聞1970/01/22付「試写室」より引用（署名：な）】」カラー放送。【各回サブタイトル】第１回「戦さ上手は家庭の幸福」（1970/01/22放送）、第２回「男は愛嬌女は度胸」（1970/01/29放送）、第３回「夫の友は妻の友」（1970/02/05放送）、第４回「遠くて近きは夫婦の仲」（1970/02/12放送）、第５回「浮気はボヤで消せ」（1970/02/19放送）、第６回「人は一代名は末代」（1970/02/26放送）、第７回「出世極楽女房は地獄」（1970/03/05放送）、最終回（第８回）「女たらしは人たらし」（1970/03/12放送）。【役名（演技者）】ねね（林美智子）、木下藤吉郎（山口崇）、前田犬千代（石立鉄男）、お松（小林千登勢）、ねねの母・むめ（宝生あやこ）、織田信長（山本直純）、足利義昭（楠本憲吉）。【参考資料：読売新聞テレビ欄、webサイト「脚本データベース」（2022/06/04参照、http://db.nkac.or.jp/top.htm）】