平和な家族を襲う突然の不幸。交通事故で植物状態となった息子を甦らそうと努力する両親の姿を、北海道で起こった実話をもとにドラマ化。「親子三人の森口家は、どこでもある普通の家族。父（勝野洋）は技術設計士で、水族館の大型水槽に取り組んでいる。母（田中好子）は、高校受験を控えたひとり息子（長瀬智也）の教育に熱心だ。だが、一瞬のうちに起きてしまった交通事故が、この一家から幸せな団欒も安らぎも奪ってしまう。植物状態になった長男を、必死の思いで看病する両親。やがて、親子の愛が奇跡を生む。実際にあった物語をベースにした宮内婦貴子の脚本を土屋統吾郎が演出した。ドラマは、長男が15歳から22歳になるまでの７年間を描く。父親とテニスをした帰りに車にはねられ、意識が戻らないまま年月だけが過ぎていく。担当医（風間杜夫）の努力もむなしく、事態は好転しない。一家に感情移入する間もなく、交通事故が起きてしまい、いきなり絶望的なシーンの連続。そのため、初めから目が離せなくなるという展開にはならなかった。だが、この前半部が、回復の兆しが見えては消える中盤から、奇跡が起きる終幕へ向けての助走となり、感動を深める。まじめな作風も手伝って、さわやかに泣ける。返事をしない息子に語りかける、まるで、ひとり芝居のような母親を田中が熱演した。交通事故の悲惨さを考えさせられるドラマだ。【読売新聞1005/01/27付「試写室」より引用（署名・康）】」