世界で初めて全身麻酔による乳がんの手術を成功させた青洲を支える妻、加恵（和久井映見）と姑の於継（おつぎ）（田中好子）の争いを描く。「1966年に発表された有吉佐和子の原作小説をドラマ化した作品。すでに映画（1967年…若尾文子、市川雷蔵 、高峰秀子）、ドラマ（1967年…南田洋子、水谷八重子、岡田英次、1980年…竹下景子、新珠三千代、江守　徹、1989年…十朱幸代、淡島千景、竹脇無我、1992年…小泉今日子、森　光子、三浦友和）と、たびたび映像化されている。【この項、文・練馬大根役者】」「原作では、嫁の加恵と姑の於継の対立が題材となってはいるが、いわゆる嫁いびりの具体的行為は描かれない。しかし地の文では、於継から向けられた憎悪を加恵が敏感に感じとり、表面的には何事も起きないまま対立が深まっていくさまが明記されていた。これにたいし本作では、説明的描写がいっさい省かれ、もっぱら加恵と於継の微妙な表情や仕草だけで、嫁姑の確執の深さを表現しきっている。この二人に扮した和久井映見と田中好子の演技がすばらしい。また、映画版で美術を担当した西岡善信が、本作でも美術を担当しているが、この精緻な美術セットと絶妙な照明がかもしだす、日本家屋特有の明暗が強い印象を残す。嫁姑の争いを描くにとどまらず、人間の心の奥底にある、暗い根源的な部分までもが浮き彫りにされている。しかしその語り口は牟岐　礼の劇伴の力もあずかって静謐であり、視聴後はむしろ一抹の明るさすら感じさせる作品である。「江戸時代後期。紀州の紀ノ川沿いに代々医者を勤める華岡家があった。妹背家の娘・加恵（和久井映見）は、幼い頃に華岡家の於継（おつぎ…田中好子）の美しい姿に心を奪われたことがあった。その於継が、長男の雲平（谷原章介）が京で遊学しているなか、加恵を雲平の嫁に迎えたいと申し出た。於継は加恵を大事にし、その睦まじさは人もうらやむほどであった。ところが、雲平が京より戻ると、於継は豹変する…。【この項、NHK広報資料より引用】」各話サブタイトルは以下の通り（カッコ内はルビ）。第一回「夫のいない婚礼」、第二回「嫁と姑」、第三回「献身」、第四回「悲しみをこえて」、第五回「別離」、最終回「永久（とわ）の花々」。撮影協力・京都府美山町(1)-(6)、奈良県明日香村(1)、岐阜県上石津町(1)(2)、和歌山県那賀町(6)。時代考証・脇田　　修。医療考証・畑埜　義雄、尾浦　正二。機織指導・平林　久美(1)(2)(6)。放送時間変更（カッコ内は理由）…2/11→休止（「第55回ＮＨＫ紅白歌合戦－第２部－」再放送）。(4)→2/18（金）放送。【役名（演技者）】加恵（和久井映見）、於継（田中好子）、華岡青洲［雲平］（谷原章介）、於勝（中島ひろ子）、小陸（ 小田茜）、豊（根岸季衣）、華岡直道（石田太郎）、妹背佐次兵衛（楠年明）、良庵（三上市朗）、民（和泉敬子）、加恵［8才］（我妻瞳）。【出典：ドラマ本体のクレジット表示より採録（データ協力：練馬大根役者）】