釈放されても、幸せはもどらない。殺人容疑をかけられた婚約者たちの冤罪物語。魚市場の事務員・玉木律子（酒井和歌子）が、殺人事件に巻きこまれた。婚約者であるホテルの板前・西田（篠田三郎）との挙式を４か月後に控えたある朝のこと、ひとり住まいの義母・百合子（寺田路恵）の死体が、川の水辺で発見された。死因は絞殺。所轄署や地元の新聞社は、西田と律子に共犯の疑いをかけてきた。律子は、結婚に失敗したことがあるが、そののちも百合子とは不仲で別々に暮らしてきた。再婚するにあたって亡父の遺産分けを要求したが、百合子が応じなかったためケンカもしている。一方、事件発生当夜の西田も、６歳の娘・美絵（土方有美）を実家に預けにいったのちのアリバイがない。状況証拠も不利だ。無実の罪に追いつめられ、律子は職場にいくこともできない。西田の娘・美絵には、悪魔だとののしられる。皮肉なことに、真犯人の中年男が自首してきたのは、功をあせった警察が、律子たちを逮捕したのちのこと。律子は釈放され、犯罪者から一転して悲劇のヒロインとしてマスコミに取り上げられる。【以上、「ザ・テレビジョン」（角川書店刊）1988/05/20号より引用】