義父の法事で夫の実家に戻った妻が、これまで何度も喜びや苦しみを背負って渡った橋を思う。三浦哲郎の原作に出て来た東北の橋のイメージに合う場所を見つけるため、スタッフが九州各所をロケハンし、ついに見つけ出したのが福岡県八女郡黒木町にある南仙橋であったという。その後、周囲の橋はすべてコンクリート橋に架け替えられたがこの南仙橋はこのドラマの舞台となったという理由で木造橋のままで補修されたという。また黒木町ではこの橋がドラマ撮影地として長らく紹介されていたという。この黒木町は女優、黒木瞳の生家の存在する町であるが、「黒木瞳がしばしば語るように、この町から女優を目指して旅立ったのは、中学生の頃、この『妻の橋』の撮影に遭遇したからという。二十年以上過ぎて、単発ドラマ一本の記憶が風景の中にかくも保存されるというのはいかなることであろうか。【この項、荒木正見氏著「自己限定し限定される場所－三浦哲郎『妻の橋』のドラマ化と福岡県黒木町－」（「海光女学院大学地域文化研究所紀要第11号」（1996/03/01）掲載）より引用】」一部資料では、1972/10/04放送と記載されているが誤り。【役名（演技者）】三原志乃（大空真弓）、三原哲也（山本学）、香代（山岡久乃）。【参考文献：荒木正見氏著「自己限定し限定される場所－三浦哲郎『妻の橋』のドラマ化と福岡県黒木町－」（「海光女学院大学地域文化研究所紀要第11号」（1996/03/01）掲載）】