「恐らく関東ローカルであり、この時間帯はドキュメンタリー枠なのだが、この作品についてはドキュメンタリーを装ったドラマ。お話は専門学校でイラストを勉強している千春がその夜恋人に久々に会う前にブラついていた原宿で30代ぐらいの女性に声をかけられ、「AV出演」を勧誘される。そして「考え時間」としてもらった２時間の間、街を彷徨（さまよ）う彼女のダラダラとした行動（レンタルビデオ屋のAVコーナーに行ったはいいが、人目を気にして近づけなかったり、美容室で働く彼氏の店の向かいから電話をして相談したいのに言い出せなかったりとか、見知らぬ中年男にはそんな「迷い」をストレートに告白したりとか）の中での迷いを描くという内容。オチははっきりと描かれていないし、ドラマにメッセージ性を求める人には何も無いという凡作。ただ深夜のまったりとした時間を過ごすには邪魔にならないテンポが心地良かったりしました。難点は何故直接カメラを回している監督（女性です）が彼女にしゃべりかけて「ドキュメント」性を出そうとするのか？という点。一番最後に字幕で「ウソですから本気にしないでください」と出るのだが、そんな事は実は最初から判かっている…「主役」の千春こと遠野小春はレッキとした現役AV女優である事を知っているので逆に素人を装った演技（ほぼスッピン）は悪くないが、果してこの作品が彼女の宣伝となり得たのか？それとも月末に同局で放送される「プラトニック・セックス」の前宣伝と見るべきか…スタッフ・キャストとも実際の「業界」で働く人々が撮った「一般ドラマ」。Ｖシネなどにも多く出演している諏訪太郎さんが枯れた味わいがありました。【この項、文・Gershwin Melody】」