那須野千春（沢口靖子）はフリーの建築士。父・成二（勝部演之）は那須野建設の社長で、系列の設計事務所では千春の大学時代のスキー部の先輩・絹村透（東幹久）が専務をしている。ある日、若芝造園の社長・大北耕介（豊原功輔）が、那須野建設の未払い金を請求しに社長室に怒鳴り込むという騒ぎを起こす。大北は、千春と絹村のスキー部のＯＢで、絹村の紹介で那須野建設の仕事を受けていた。千春の初恋の人でもあり、婚約者と結婚した大北に、千春は今なお実らぬ想いを秘めていた。翌日、那須野家の庭で頭部を鈍器のようなもので殴られ死亡している成二の死体が発見される。妻・久江によれば、成二は昨夜家に帰らなかったという。知らせを受けて駆けつけた絹村が、午後11時頃まで社長と一緒だったことがわかる。茅ヶ崎中央署刑事課長・百崎が心当たりを尋ねると、絹村は業界誌を発行している出版社「清潮社」の社長・紅谷朔（石橋蓮司）の名を出す。生前の那須野と密な関係にあった人物だが、裏では暴力団幹部との繋がりが噂されていた。紅谷に聞き込みに行った警察は、事件当日、那須野と若芝造園の社長・大北との間にトラブルがあったことを知り、大北家を訪れる。昨夜は実家に帰っていたという大北の妻・志麻子（森下涼子）に代わり、家政婦のとめが昨夜の大北の不審な行動を証言し、警察は任意で大北を事情聴取する。大北は昨夜、11時過ぎに帰宅した後、再び出掛け、12時半に帰宅していた。大北によると、知らない女性から間違い電話がかかり、目が不自由だというその女性の指示で、言われた番号に電話をかけたが間違っていたため、女が待つ公衆電話まで車で向かったという。しかし人はおらず、残されたメモにあったスナックにも行ったが、既に女性はいなかったという。説明を聞いた百崎は、スナックの場所と那須野邸が車で５分の距離にあること、社長の死亡推定時刻が11時40分から12時の間で大北の外出時間と一致することを指摘する。また、スナックのホステスも大北を覚えておらず、アリバイが証明できない大北は、とめが電話を盗み聞きしていたはずだと告げる。しかしとめが認めないため、窮地に立たされる。大北は一まず解放されるが、今度は紅谷に那須野殺しを問い詰められ、強請りを受ける。さらに追い討ちをかけるように、家の裏庭で血痕の付着したゴルフクラブが見つかる。絶望的な状況の中、大北は千春に会いに行き、自分は潔白であることを強く訴えた。また、目の不自由だった従姉妹を事故で亡くした経験から、電話の女性を放っておけなかったと告げる。会社の顧問弁護士・佐古に相談に行くと言う大北は、10年前、スキー部の夏合宿で田沢湖へ行った時、千春に思いを寄せていたと告白。２人はつかの間の幸せを噛み締めるが、大北は「君のことは決して忘れない」と言い残し、千春の前から去って行った。その頃、警察は志麻子の通報で大北家を訪れ、ゴルフクラブの血痕が那須野社長の血液型と同じであることを突き止める。警察は、姿を消した大北を全国に指名手配した。その夜、警察本部に秋田県田沢湖畔のホテルに大北らしき人物が宿泊しているとの情報が入る。翌朝、男は姿を消し、宿泊部屋には「ご迷惑をかけて申し訳ありません」と書かれたメモと、大北の顔写真が載った新聞の指名手配記事が残されていた。その後、大北の靴が湖畔で発見され、大北が田沼湖に身を投げたと推測されるが…。【テレビ東京広報資料より引用】。地上波では、TX系「水曜女と愛とミステリー」枠で2003/12/10、水曜20:54～22:48に放送された。撮影協力・田沢湖畔、横浜フィルムコミッション、松尾工務店、奈良建設、室谷不動産、逗子市浄水管理センター、古賀ホール、PFU。車輌協力・コンガス。【出典：ドラマ本体のクレジット表示より採録（採録：古崎康成）】