駅に捨てられた女児が、愛に包まれてたくましく育ち、生きた姿を、日本経済の成長を支えた鉄道の発展を背景に描く。ヒロイン・萌（もえ）を三人がリレーで演じた。十歳ごろを柊瑠美、十八歳から三十八歳までを遠野凪子、そして五十代を、語り手も務める倍賞千恵子。好評により2000年に劇場映画にもなった。三木のり平の遺作。地上波でも月～土08:15-08:30、月～土12:45-13:00に放送された。主人公が捨てられていた明日萌駅は架空の駅で、オープンセットと留萌本線・恵比島駅を使用した。人気を呼んだドラマであったが、人気があるがゆえ注目もされ、戦中の描写をめぐって批判も寄せられた。「NHKのドラマで『すずらん』というのがあって、たまたま観たのだが、戦時中の場面がひどい。登場人物全員が反戦的・厭戦的な言葉を平気で口にする。全員が特高警察に逮捕されても不思議ではない。太平洋戦争末期に＜厭戦＞気分はあったとしても、＜反戦＞的大衆なんて存在しなかった。現在では、こうしないと、視聴者にわからない、とNHKは反論するだろう。戦時中は暗黒時代で、悪いのは軍人ばかり、庶民は＜反戦＞を心に秘めて生きていた、というパターンである。【この項、小林信彦・著「あの戦争と時代考証」（「最良の日、最悪の日」（文春文庫刊）所収）より引用】」撮影協力・北海道沼田町・留萌市、北海道旅客鉄道、東日本旅客鉄道、真岡鐵道ほか。【校正協力：のよりん】