四十代以降の人なら覚えている人も多いのではないだろうか。…大阪弁丸出しで威勢よくブギウギを歌い上げていた笠置シヅ子の歌声や姿を。このドラマでは元宝塚男役スター、順みつきがシヅ子役で登場、世話好きで人情味のある私生活や、歌と踊りにひたむきに打ち込む姿をあますところなく伝えてくれる。筋立ては、1937年、大阪松竹少女歌劇団のスター、シヅ子はある日、入団希望の四国からの家出娘芙美子（藤吉久美子）を自分の家に置き、面倒を見る。やがて、服部良一（山本圭）の勧めで東京に進出、次々とヒットを飛ばす。戦後も「ブギの女王」として名声を高めるが、1960年に歌手の限界を自覚してステージを去る。一話ごとに、ほろりとさせる山場を設けた小野田勇の脚本のきめの細かさ、舞台場面での順の水を得た魚のように生き生きした表情の美しさが魅力的だ。【以上、「朝日新聞」1987/05/11付「試写室」より引用（署名・越）】【役名（演技者）】笠置シズ子（順みつき）、笠置シズ子の母親（島村晶子）。【参考文献：「上方芸能」（『上方芸能』編集部刊）1989/10号（通巻102号）】