プッチーニのオペラ「マダム・バタフライ（蝶々夫人）」を下敷きに、明治初期の国際都市・長崎を舞台に米海軍将校リチャード（ジョージ・チャキリス）と結ばれた女性八重（三田佳子）の生き方を描いたドラマ。プロデューサーが石井ふく子、脚本が田井洋子というコンビだけに、女性視聴者に重きを置いたつくり方。武士の娘として生まれた八重が、父の切腹、婚約者（篠田三郎）の投獄などで芸者となるが、自分を対等に扱ってくれるリチャードと出会い、結婚。二人の間に息子が生まれるが、リチャードは戦場へ。約束の二年後、彼が帰ってくる知らせを受けたが、息子が病死。追いうちをかけるように彼の船が難破したという知らせ……。全部セット撮影で、実景が入っていない。それだけに舞台劇の効果を狙ったつくり方。お正月らしく新派かなにかの舞台を見るつもりなら、それはそれで楽しめよう。背景、照明も、もっと思い切った舞台調にしてしまえばよかった。【以上、毎日新聞1985/01/01付「視聴室」より引用（署名：孝）】