六歳の美香（豊島美樹子）の耳には、しっかりと補聴器がはめ込まれ、父・茂（井川比佐志）、母・仲子（浜木綿子）の必死の発声訓練がきょうもつづいている。美香は知恵遅れ、難聴、けいれん発作の三重苦を背負って、この世に生を受けた。医師は見放したが、「どんなことがあっても、ママが教えてあげる」と、仲子は必死。ベンキョウから逃れられない美香は、何度か悲鳴をあげ、うわ言にまで「ママ、ベンキョウする」とうめいた。そしてある日、いじめっ子の名も告げられないわが子、その悔しさから、仲子は絵を習わせようと思い立った。島田先生（音無美紀子）との出会いが、のちに美香に太陽をもたらそうとは、このときの仲子は思ってもみなかった。十二歳になった美香（長谷川真砂美）は、「らんぷ」という素晴らしい絵を生むまでに才能を発揮した。だが、このころ、島田先生はすっかり自信をなくしていた。美香の感覚に圧倒されて……。【以上、「いわき民報」1978/03/04付夕刊より引用】【参考資料：書籍「劇団ひまわり30周年史」（1981/09/22発行、発行所：株式会社劇団ひまわり）】