遠洋マグロ漁船の甲板員、隆（田中健）は、一年分の給料二百万円をフトコロに、十年間会っていない姉あき（栗原小巻）のいる東京に出る。家出の理由になった、姉と義理の叔父（岡田英次）との〝不義〟が、まだ心にわだかまっているのだが、たまたま出会ったフーテン娘ひとみ（坪田直子）と話しているうち、やはり顔が見たくなったのだ。この間、外国人アーチストの呼び屋をしているあきは、翌日が公演だというのに、歌手マリア（Ｌ・フトランスキー）に「歌えない」とダダをこねられ、善後策に大わらわ。結局、来日前にけんかした恋人からの電話でマリアは機嫌を直し、ステージは無事。その夜、姉弟は再会を喜び合うのだが――。珍しい役どころに挑む小巻、というのが目玉のこのドラマだが、その役どころも、新聞記者松永（細川俊之）とブランデーをたしなみながら、ややこしい求愛を受ける設定も、小巻の華やかさを引き出していて、まあまあ。だが、もっとユーモラスになるはずの田中と坪田のやりとりが、やや単調で、少々全体のふくらみを減殺した感がある。【以上、毎日新聞1977/01/07付「視聴室」より引用（署名：地）】【役名（演技者）】「あき（栗原小巻）、隆（田中健）、竹村（岡田英次）、松波（細川俊之）、ひとみ（坪田直子）、松波の愛人（加賀まりこ）。【この項、文：thierry】」【データ協力：thierry】