非人間的な生活を強いられているスターが、本当の純愛の存在を確かめるために無償の行為を。【以上、「テレビドラマ全史」より】「この番組の主人公は、人気タレントと女マネジャーで、二人は愛し合っている。それだけに、テレビ界の裏側をスッパ抜いた〝内幕もの〟といえよう。８年前、石原裕次郎、浅丘ルリ子主演で日活が映画化したが、こんどは石坂浩二と加賀まりこがコンビを組んでいる。北大作（石坂）は２年前、一躍テレビの人気タレントとなった。典子（加賀）は、当時からマネジャーをつとめている。しかし、北は毎日続く殺人的スケジュールのなかに自己を失い、典子との愛にもけん怠をおぼえている。そんな北の前に、ランドクルーザーを運んでほしいと訴える美子（吉田美智子）が現れた。この作品の特色は、題材の持つむずかしさが、そのまま作品への興味につながっていることだ。テレビ界の人気者を同じ立場の石坂、加賀が演じている。ましてこのコンビの場合、実生活でもとかくウワサがあった。その上、映画の石原、浅丘のイメージもかさなってくる――つまり演ずる立場も、それを受けとめる視聴者の側にも、さまざまなイメージの混乱が起きてくる。またそれだけに興味もわく。石坂、加賀ともに第一回から、この難題をうまく消化しているとはいえない。テレビマンユニオンから出向した村木良彦の演出も同様だ。しかし、こうした混乱は回を重ねるごとに整理され、興味も倍加していくものなのだろう。【この項、「読売新聞」1970/09/18付「試写室」より引用。署名：権】」カラー放送。現存する台本では「制作：日活株式会社・TBS」と記載されており、当初はTBSで放送される予定で企画が進んでいた模様。