ひょんなことから大金が。刑事の目をかすめて使い切ってしまおうとするが、金は増える一方。大山勝美がはじめて演出とプロデュースを兼ねた作品。社外ビデオ番組制作の第一号で、東通に技術・美術スタッフをすべて外注した作品。演出の大山勝美は後年語っている。「66年のドラマ『真田幸村』が低視聴率で、終わってから２年半、干されました。ちょうどそのころ、NHKが内幸町から渋谷に引っ越して、内幸町にあったスタジオの下請けをしていましたが、天気予報などをやっているうちに、カメラワークもできるようになった。そんなとき、TBSが連続ストを打たれてゴールデンの番組がすっ飛びそうになり、フィルム番組で穴埋めをしたが苦労した。そこでTBSの経営陣が、ビデオでパッケージ番組を制作できる外部プロダクションを作らなければと思い始めるんですね。68年ごろです。スタジオが空いた、東通という技術チームもある。美術はもともと外部にもある。そこで、「大山は注文の多いうるさ型の演出家だから、お前が演出してそれなりの番組ができるなら、東通を独立させたい」と。それでテスト版を作れと言われたんですよ。内幸町のスタジオで30分番組ワンクールを２本作りました。『お金がこわい！』という連続ドラマ（林美智子主演）と『マイホーム'70』という、坂本九と八千草薫が夫婦役で、倉本聰さんなどの脚本です。仕上がりを見て、上層部も「これならいける」と、ビデオプロダクションを発足させようということになる。」【この項、植村鞆音・大山勝美・澤田隆治著「テレビは何を伝えてきたか」（2012年、ちくま文庫刊）より引用】」