今時の中学生の学校での唯一の憩いの場、それはトイレ。先生やクラスメートの目から離れ、そこはパラダイスと化するのである。繰り広げられる会話は、先生や戸まだ血の悪口や学校生活における愚痴などに至り、様々な本音をこぼしていく。会社で言えば、女性社員たちが気を休める給湯室のようになってきているのである。ある日、行列が出来るほどの現象が起きているトイレ内で事件が起こる。【以上、NHK関連広報資料より引用】。「女子トイレ。いつもいっしょにいる友人と話がはずむ安達沙耶。しかし本当は、楽しげに装って会話に調子を合わせているだけだった。男子トイレ。トイレの「個室」に私物を持ち込んで自分の部屋のように飾り立てた宮野雅弘。授業中もこもっている。雅弘は元バスケ部員。同学年の中で一番センスがあったが、それゆえに三年の先輩からイジメを受け、退部していた。やめたことを親にも言えないまま、部活が終わる時間までトイレで過ごしてから帰宅する毎日を送っていたのだった。雅弘がトイレに籠もっていることに気付いたクラスメートでバスケ部員の鶴岡筧也は、試合に出場するよう誘う。実は筧也は他の友人と賭をしていた。試合に勝ったら片想いの沙耶に告白することになっていたのだ。やがて他の生徒もトイレにこもっている人物の存在に気付きはじめ…。トイレを題材にして、人間関係をうまく築けない中学生が一歩前に踏み出すまでの過程を描いた好篇。取り立てて劇的なことが起きる訳じゃないけど、最後に主要人物が、いわばちょっと顔を上げて歩き出すという雰囲気の、控えめに救いのある結末が良かった。【この項、文・練馬大根役者】」『中学生日記』のタイトルコール前の「オープニングメッセージ」は国仲涼子。キーワードは「ハナシタイ」。【データ協力：練馬大根役者】