バブル崩壊後の銀行員たちの暗闘を描く。銀行の50代の同期入社の３人を横軸に、それぞれの職場での様相を縦軸に巧みに展開。中村敦夫は、本社の総合企画部長。彼は銀行合併の準備について極秘裏に頭取から指示を受けていた。その片腕として活躍するのが総合職採用の女性第一期の黒木瞳。彼女は同じ京都大学出身の銀行局長がいる大蔵省担当に抜擢される。橋爪功は、本社の業務推進部長。彼は日々、各支店の営業成績とにらめっこし、成績不振支店のてこ入れに忙しい。彼は社内の人事に非常に興味をもっている。それゆえ、最近の本社中枢の無気味な動きを敏感に感じ取り、同期の中村敦夫に探りを入れる。小林稔侍は、名古屋の老舗の中規模店の支店長。彼は赴任した店を愛することを心掛け、部下にも気を配り、地元密着の理想的ともいえる店舗を実現していた。営業現場では、合併が極秘裏に進められている相手銀行とし烈な戦いを繰り広げていた。と、こうした巧みな人物配置でうまく銀行合併工作の過程を捉える。タイトルテーマ曲の「空」は、乾いた人工的な世界の描写が続くこのドラマにあって唯一の自然描写の歌詞と雰囲気がいい。