「クリスマスも近いある日、東京の新宿を舞台に展開する青春ドラマ。現代の若人には夢も目的もないといわれる。20歳になったタケシ（田村正和）も同類である。ところが、新宿駅で10万円拾ったことからチエという娘（中尾ミエ）と知り合い彼の心は動く。【この項、「週刊TVガイド」1966/01/21号（東京ニュース通信社刊）より引用】」手持ちカメラによって1965年暮れ、年の瀬の新宿駅界隈を活写する。深町幸男が制作当時のことを後年回顧している。「『NHK劇場　20歳』は、新宿駅で、誰かが落とした定期入れがアップになったところに両方から手が出て、若い男女がたまたま出会い、一緒に交番に届けるのですが、夕方、南口の陸橋の上で別れるまでの話です。ふとした出会いがあって別れていく、ということに何か自分を重ね合わせていたのでしょうか、そういう作品が多かったと思います。「深町は、青春ものはうまいぞ」などと思われていましたが、自分たちが通り過ぎた過去というものを観察する、ということがすごく快感でした。こうした作品を作り続けていたあるとき、新東宝時代に助監督として仕えた清水宏監督から電話が入りました。「お前さんの作品を3本見た。良かったよ」と言ってくれたのです。私は直立不動で受けました。【この項、深町幸男「ドラマづくりは阿吽の呼吸」（「放送研究と調査」（NHK放送文化研究所刊）2009/08月号掲載）より引用】」