リヤカーで引き売りする八百屋の大吉（多々良純）は、長女春江（本山可久子）と長男一郎（大塚国夫）が自慢だ。春江はクツ製造工場の社長の息子と結婚するし、一郎は大学へ通いながら家庭教師をし、たまには小遣いもくれるからだ。二女の康子（山崎左度子）と二男の次郎（工藤堅太郎）は、春江の口ききでクツ工場で働いている。そんな子どもたちに囲まれて、大吉の楽しみは酒を飲むことと、パチンコをすることだけだが、春江や一郎にとっては、そんな父親が迷惑になってきた。春江にしてみれば、ネジリはちまきの大吉がなれなれしく訪ねてくるのは、近所づきあいの手前みっともないというのだ。一郎にしてもそうだ。いざ結婚するとなっても、父を披露宴に招くわけにいかないという。どうにもたよりにならないと思っていた康子と次郎だけが、ほんとうの自分の子だったとさとった時、大吉は胃ガンで倒れてしまった。【以上、読売新聞1964/12/29付より引用】いすゞ自動車提供の単発ドラマシリーズの一本。放送期間は1964/10/06～1965/01/05。