第35回ATP賞優秀賞受賞作品。2018年度文化庁芸術祭参加作品。「昨年暮れ、８８歳で急逝した脚本家、早坂暁の最後の作品。昭和の名作「花へんろ」の特別編。自らの体験をもとにした、兄と妹との心揺さぶる物語。昭和初期の四国、松山。お遍路道に沿った商家の軒下に、人形と一緒に赤ん坊が置き去りにされていた。生活苦のお遍路さんらしい…。この女の子は春子と名づけられ、少年・良介の３歳違いの妹として仲むつまじく育てられた。やがて戦争が始まり、16歳の良介（坂東龍汰）は、海軍兵学校に合格して瀬戸内の海を渡った。思案した母親･静子（田中裕子）は初めて春子に事実を告げた。「本当の兄妹ではない」と。兄にほのかな恋心を抱いていた春子（芦田愛菜）は無邪気に喜び、それを兄に伝えるために広島へ向かった。その翌日…原子爆弾が、上空でさく裂する。終戦後、故郷に戻った良介は、信じるものもなく、妹を亡くした喪失感にさいなまれる。やがて苦悩する良介は、ある決心をする…。13歳で亡くなった妹のことを、早坂はずっと書くことができなかった。しかし、数年前から“これだけは未来のために書き残したい”と脚本に向き合い始めた。病と闘いながら執筆を続けたが、途中から冨川元文にバトンタッチ、冨川が原稿を書き終えた２日後、この世を去った。人間の本質と社会を鋭い洞察力で描きつづけた早坂暁のいわば「人生の原点」を鮮やかに示す、遺作ともいうべきドラマ。【この項、NHK広報資料より引用】」撮影協力：愛媛フィルムコミッション、松山市、高知フィルムコミッション、いばらきフィルムコミッション、常総フィルムコミッション。資料提供：富田由起子。写真提供：西田　茂雄。【役名（演技者）】富田良介（坂東龍汰）、富田春子（芦田愛菜）、富田静子（田中裕子）、早坂 暁（山本圭）、富田勝二（尾美としのり）、天本イチ子（中西美帆）、花井靴院長（西村和彦）、前田賢太郎（佐久本宝）、平三（岡山天音）、井沢大尉（金井勇太）、鮫島友恵（月船さらら）、夜明け前［教師］（三又又三）、女遍路（斉藤とも子）、澤島義男（安藤一夫）、中学校教師（俵広樹）、汽車車掌（小嶋尚樹）、駅員（中村祐樹）、海軍兵学校教官（坂川慶成）、女子学生（守山クリス）、七つ釦の学生（福島綱紀）、富田良介［12才］（小林諒音）、富田良介［５才］（田中レイ）、富田春子［９才］（荒川梨杏）、富田春子［１才］（関口いろり）。