生まれつきの弱視にもめげず、家族のやっかい者にならぬよう、将来は作曲家になって大いに金をかせごうと張りきる十九歳の娘・桃枝（大空真弓）。朗らかな彼女は、父（三井弘次）や姉（渡辺美佐子）や兄（松島滋広）に愛されるが、彼女の存在のため姉たちはなかなか結婚できない。屈託のない彼女は、喫茶店のマスター熊雄から同情され、いつもレコードをきかせてもらう仲となり、彼女はこれこそ恋愛だと思いこむ。だが、家族は彼女の行動を不安がる。ところが、桃枝は「自分のことは自分で始末するから、みんなも私のせいで結婚できないなど考えずに、どんどん前進して」と叫ぶのだった。身体上の欠陥を不幸と思わず、自分の力でどんどん環境を変え、自分の将来の設計もぬかりなくはじめる純真で明朗な娘と、その家族に起こったいろいろなできごとをテーマに、壺井栄の同名の原作から三回にわけて送る。【以上、読売新聞1964/03/17付より引用】【役名（演技者）】谷村桃枝（大空真弓）、姉・杏子（渡辺美佐子）、兄・茂樹（松島滋広）、父・竹一（三井弘次）、美津枝たつ子（桜緋紗子）。