長野県警上田南署の刑事・木曽俊作（大地康雄）は、駆けつけた現場で、かつて自身が担当した事件の犯人、須賀優二（大浦龍宇一）の死体を目にする。須賀は5年前、酒に酔ってケンカし、ビール瓶で相手を殴り殺して傷害致死罪で5年の刑に服していた。木曽は最後の面会の時、5年後、刑務所から出てきたら、もう一度お世話になるかもしれないと木曽に呟いていた。死体の第一発見者は、自宅で絵画教室を開いている尾崎江津子。江津子は５年前に夫を亡くし、5歳の娘・加代子（工藤優）と二人で暮らしていた。そして須賀は、江津子の亡くなった夫、精一郎の従兄弟にあたり、出所当日に江津子の自宅を訪れて、何者かに殺害された。周囲の目撃情報から、須賀が江津子の家を訪れたのが5時50分、江津子は6時に近所に買い物に出かけている。江津子の供述によると、須賀のためにつまみの惣菜を買いに出かけ、家に戻ると須賀が死んでいたという。現場の捜査が進むにつれ、江津子の供述と現場との食い違いが明らかになってくる。江津子は、気が動転して凶器が現場に残されていたのかも覚えていないと言いながら、死体の横を通って買ってきた惣菜を冷蔵庫にしまっていた。問い詰める木曽に、冷静に受け答える江津子。江津子は、任意同行に素直に応じ、加代子を兄夫婦の陣場良介（並木史朗）・幸恵（水木薫）の元へ送り届けてほしいと言う。そして加代子に、お月様はお願いを何でも聞いてくれるから、寂しかったらお月様とお話しなさいと言い含める。その加代子の手には、お月様の絵が描かれた絵本が握られていた。早速、本格的な取調べが開始されるが、凶器は依然として見つからず、動機も不明のままであった。しかし木曽は、江津子の夫が死亡し、須賀が事件を起こした“5年前”が気になり、5年前の捜査から取りかかることにする。江津子の夫・精一郎は、5年前、登山中に死亡していた。木曽は、精一郎が須賀に殺されたのではないかと睨むが、精一郎の死は目撃者の大勢いる中での事故死だった。しかも須賀には完璧なアリバイがあった。やがて須賀が3カ月前に仮釈放を伝える手紙を江津子宛に送っていたことが明らかになる。しかし江津子は、1週間前に電話で初めて聞いたと供述していた。徐々に明らかになる江津子の嘘。そしてついに、江津子が薬指にはめていた亡き夫との結婚指輪の裏から須賀と同じAB型の血液反応が出た。江津子は死体には触っていないと供述していたが、とっさに木曽を抱き起こそうとした時に手に血がつき、怖くなって洗い流したと言いだす。警察の追及が厳しくなる中、「尾崎江津子は犯人ではない。犯人は男だ」という匿名のハガキが捜査本部に届く。消印は前日の午後。拘束中の江津子がハガキを出せるはずもなく、ハガキからは以前に婦女暴行未遂で逮捕された笹部用吉（有薗芳記）という男の指紋が検出された。犯人はその男なのか？やがて2枚目のハガキが届き、そこには凶器の隠し場所が記してあった。記述通りの場所でナイフが発見され、須賀と同じAB型の血液反応が出る。犯行後、江津子がそこまで凶器を隠しに行くのは不可能なことから、江津子は釈放される。だが、やはり江津子が怪しいと睨む木曽は、真相究明のために一人捜査を続ける。木曽がそこまで真犯人逮捕にこだわるのには、ある理由があった。そこには彼の深い悲しみが横たわっていた…。【以上、テレビ東京広報資料に役名・出演者名を補足。補足・練馬大根役者】「女と愛とミステリー」第185回。地上波ではテレビ東京「水曜　女と愛とミステリー　The tales of selected mysteries」枠にて2005/3/2（水）20:54-22:48放送。撮影協力・信州上田フィルムコミッション、上田西洋旅籠館、上田グランドホテル、上田交通、おお西。美術協力・NTTドコモ、BMS。衣裳協力・クロスプラス、コンスタンブル、シャーリーテンプル、APPENA、L'EQUIPE YOSHIE INABA、DUAL VIEW、東京ソワール、花子、VENDOME AOYAMA、ART/BERG。車輌・マエダ・オート。