辻川小夜子（富司純子）、53歳。母から受け継いだ都内の閑静な住宅街の結婚相談所「辻川ハピネス」所長。カウンセラーとして23年、500組を結婚させた小夜子は、子どもも夫の病死後は一人で育て上げ、生き方に自信と誇りを持っていた。テレビでも「確実な情報で選ばれた最もふさわしいお相手と、まずはお見合い、そして熱烈な恋愛」と持論を説くのだった。ところが三人の娘は母の仕事に批判的。「ハピネス」で働く長女の宏美（久我陽子）は、母の勧めで見合い結婚した水虫（白癬菌）の研究者で、極端な潔癖性の夫・村井宗一（田辺誠一）と別居中。「ハピネス」のイベント等で記念写真を撮る駆け出しカメラマンの次女・清美（榎本加奈子）には男友達が何人もいる。高校生の末っ子・里美（前田亜季）は度重なる痴漢のせいで男性恐怖症。将来結婚する気はなく、結婚相談所の娘だと級友に知られるのを嫌がっている。そんな時、板倉英一郎（橋爪功）という52歳の男がやってきた。元国会議員の秘書で政治団体「新世紀を考える会」を主宰しているが、故郷の老舗旅館の跡を継ぐため再婚相手を捜していた。テレビを見て「ハピネス」にきたという。話好きで明るい板倉に好印象をもった小夜子は、見合いの理想のタイプを聞くが、「それはあなたです」という答えに頬を赤らめる。一方、宏美と清美は古参スタッフの衣笠モヨ子（鷲尾真知子）とともにお見合いをセッティングした。ところが当日、お相手の片岡真理子（磯野貴理子）は、小夜子が席を外すなり言った。「江口先生。この結婚詐欺師！」と。狼狽する板倉だが…。小夜子にとっては甘い恋の時間となるシーンを、長回しと変則的なアングル、たえず移動するカメラワークで撮ることで板倉の胡散臭さを強調し、喜劇性を強めている。上質のコメディにして大人のラブストーリーでもある快作。【以上、文：練馬大根役者】取材協力：板本　洋子(1)-(6)、浦上　博子(4)。各話サブタイトルは以下の通り。第1回「危険な訪問者」、第2回「愛のテクニック」、第3回「夫婦回復作戦」、第4回「お母さんが危ない」、第5回「詐欺師ってホント？」、最終回「母のプロポーズ」。第１回の放送枠は21:00～21:43。第２回は小泉内閣改造の記者会見中継によるニュース枠の急遽延長により21:30～22:13に放送された。【出典：ドラマ本体のクレジット表示より採録（データ協力：練馬大根役者(1)-(6)、採録：古崎康成(1)(3)）】