その昔、剣豪俳優で鳴らした中田も今は落ちぶれて女剣劇の裏働きになっている。きびしく芸を仕込まれた彼には、今の若い俳優たちの甘い修業ぶりが目につき、自分の地位もかえりみず文句やダメを出すのでだんだんみんなからきらわれてくる。一老優の生涯を通じてきびしい芝居の世界の明暗を描いたもの。【以上、朝日新聞1960/04/20付より引用】「実話に取材した人間ドラマを扱ったオムニバスドラマシリーズ「ここに人あり」（放送期間：1957/04/15～1961/03/30、全176回）の中の一編。ラジオ放送開始時から活躍し、一線を退いていた往年のNHKアナウンサー大羽仙外が番組解説を行ったシリーズでテレビ放送の利便性を生かし、時事的なテーマを取り上げた話も多い。【この項、文：のよりん】」