モンテカルロ国際TVフェスティバル銀賞受賞作品。第25回放送文化基金賞受賞。第53回芸術祭優秀賞受賞作品。1999年日本民間放送連盟賞優秀賞受賞作品。第36回ギャラクシー選奨受賞作品。第36回上期ギャラクシー賞受賞作品。孝行（役所広司）は、霊柩運送会社の運転手。ある日、修（森宮隆）という男が急死した婚約者・佐和（寺島しのぶ）の遺体を、郷里の四国・黒髪村まで移送するよう依頼する。だが、修は途中で姿を消す。黒髪村では若い女性が結婚の契を結んだまま死んだ時、生前の婚約者との祝言を挙げてから葬送する「幽婚」のしきたりがあり、着いた孝行は新郎役を頼まれる。おなじみ市川森一のドラマにありがちな幻想的な物語が展開する。「中国で行われているという死者との形だけの婚礼という不思議な慣わし。これを日本の四国の山奥に設定を移し、幻想的な物語を作り出す。傀儡のような村人たち。物語の殻となる場面に挿入される歌舞伎の一場面は女の怨霊の象徴…。怨念のすさまじさを表現しているのでは。この場面ちょっと怖いのですが…。その後の佐和との場面は逆にむしろ静謐さを湛え、佐和は、孝行の憧れの象徴として表れる。しかし滝壷の中に孝行を誘う佐和は清姫の入水のよう…。これも象徴的な意味なのか。しかしこの話の中では、孝行と佐和との愛し合う場面として描かれる。そして、ラストの意味合いはどうとでも取れるよう…。もう一度見たいと思っていた待望の作品。数々の賞に輝いていたとは知らなかった。寺島しのぶが若々しい。役所さんとの幻想的な場面では体当たりの演技で、情熱がほとばしるような感じ。いい…。でもこの作品は役者の演技力よりもやっぱり不思議な設定と幻想的な山場。これを見るべき。個人的には記憶に残るドラマです。【この項、文・khtatu】」「2006/8/15(火)23:55～25:35に「CBCテレビ開局50周年　CBCアーカイブスペシャル～あの名作をもう一度～」の第二夜ドラマ傑作選として放送され、本篇の前後に脚本家・市川森一のインタビュー映像が流された。【この項、文・法水】」ロケ協力・四国村（四国民家博物館）、ホテルナゴヤキャッスル、徳島県東祖谷山村ほか。車輌・御園　栄次。【出典：ドラマ本体のクレジット表示より採録（データ協力：法水）】【参考文献：志賀信夫著「映像の先駆者125人の肖像」（2003/03/30発行、日本放送出版協会刊）】