コピーライター・中島らもの吉川英治文学新人賞受賞作品のドラマ化。作家の容（柴田恭兵）は小説執筆のプレッシャーのため、アルコール中毒になってしまう。あげくに病院に入院するが、隠れてコップ酒を飲む始末。そんな容にあきれたさやか（浅野ゆう子）は、ヤンエグの小林（美木良介）のプロポーズを受けてしまう。「しゃれた題名や柴田恭兵、浅野ゆう子といった配役から、都会的な恋物語を想像すると当てがはずれる。確かにそうした一面もあるが、男女の仲の奥深さと酒の怖さをたっぷり味わわせてくれる異色のドラマだ。死者の消毒用のアルコールさえ口にするアルコール依存症患者の実態が克明に描かれ、酒好きな人やおとそ気分も吹っ飛びそう。当り障りのない作品が並ぶ時間帯に、あえて辛口の作品を配した編成陣の姿勢をまず評価したい。仕事だけでなく恋愛からも酒に逃げようとする男と、安定した生活を目前にしながら自分に正直に生きることを選ぶ女。二人の姿から、人間は弱い生き物だた、けっこういいところもあるなと感じさせられた。心温かい余韻が残る作品だ。【この項、読売新聞19950107付「試写室」より引用。（署名・大）】。