1957年に実際に山下清が訪れた、奄美大島を舞台にお馴染みの山下清の珍道中を描く。奄美大島にやって来た清は、紬の織り子・加那子と仲良くなった。加那子は恋人の敏彦が本土から帰ってくるのを首を長くして待っていたが、敏彦は親の決めた相手と結婚していた。「桜島へ行くつもりがなぜだか鹿児島県・名瀬市に着いた放浪の天才画家・山下清（芦屋雁之助）は、浜辺で備加那子という娘（早見優）と知り合う。加那子は中尾紬織物工場で働く大島紬の織り子で、近く開催される世界織物展に出品される作品を担当するらしい。桜島への船賃を稼ぎたい清は、加那子の口添えによって織物工場で働くことになるが、いつものごとく失敗続き。加那子は鹿児島の呉服問屋の若旦那である宮乃敏彦（亀山忍）に恋心を抱いていたが、実は敏彦はすでに取り引き先の令嬢と結婚をしていた。そうとは知らない加那子は敏彦が現われるのを待ち続けているが、織物工場の主任である松田保（渡辺裕之）が加那子のことを慕っていることに気付いてはいなかった。ある日、敏彦が東京の有名な画家に依頼した世界織物展の出品作のための図案を持ってやって来る。ホテルの庭園でスケッチをしていた清は、そこで敏彦と中尾（長谷川明男）に遭遇、気を利かせたつもりで加那子を連れて来る。しかし敏彦の指に光る指輪を発見して怒った加那子は、敏彦の持っていたデザイン画を破り捨ててしまう。困った敏彦はスケッチのうまい清にデザイン画の復刻を依頼するが、出来上がった絵は原画と似ても似つかぬものだった。しかしその美しい奄美の海の中を描いた絵に興味を持った中尾は、その絵柄で加那子に紬を作ることを指示する。…その後、素晴らしい大島紬が完成、そこへ敏彦が慌ててやって来る。清が放浪の天才画家・山下清だと知ったからだった。作品は世界織物展で金賞を受賞、その頃、清は桜島の見える海岸を歩いていた…。【この項、文：市村】」一部資料では、1994/12/11放送と記載されている。協力：日本エアシステム、（A）グループ（※厳密には円の中にA）。衣裳協力：O'NEILL。ロケーション協力：名瀬市、笠利町、龍郷町、住用村、奄美群島広域事務組合、奄美群島地域産業振興基金協会。【演技者…役名】「●芦屋雁之助…山下清（放浪の天才画家）・西郷隆盛（山下清の空想の中の登場人物）〔二役〕、●早見優…備〔ソナエ〕加那子（中尾紬織物工場の従業員。大島紬の織り子）・愛加那（西郷隆盛の二番目の妻。山下清の空想の中の登場人物）〔二役〕、●長谷川明男…中尾浩平（中尾紬織物工場の社長）、●田畑猛雄…加那子の父、●今村廣則…佐藤〔サトウキビ農園の男性。相撲大会の行司でもある）、●名本忍…中尾紬織物工場の従業員、●坪山豊…浜辺でサバニ船に絵を描いている船大工、●亀山忍…宮乃敏彦（鹿児島の呉服問屋「宮乃」の若旦那。加那子の昔の恋人）、●渡辺裕之…松田保（中尾紬織物工場の主任）。【この項、文：市村】」【データ協力：市村】