第24回ギャラクシー奨励賞受賞作品。第５回向田邦子賞（脚本・寺内小春）受賞対象作品。1935年秋から226事件が発生した1936年２月26日までの物語。1935年晩秋。女学校の教師をしている紀田家の長女・礼子（田中裕子）は熱を出して学校を早退。帰宅するといとこの軍医、聡一郎（永島敏行）が来ていた。心配する聡一郎に礼子は耳を貸そうともしない。聡一郎が気遣うのは、礼子の父・順弥（佐藤慶）のことがあるからだった。順弥は肺結核で、２年前から療養所に入ったままだった。好編が多い向田邦子新春シリーズの中でも屈指の佳編。「心に残るドラマだった。戦前の生活がリアルに描かれていた。朝、娘たちの四角いアルミのお弁当箱を並べて詰めている忙しさ。お正月の晴れ着を着るときの晴れやかなざわめきなど、なんともいえない魅力が漂っていた。226事件に加わるいとこへの思いと、彼を慕う長女の切ない心情…。【文・五十嵐福子氏（朝日新聞1987/01/23付「はがき通信」欄より引用）】」協力・織田学園、BOSCH、PLSAほか。書道指導・飯島太久磨。