400キロの自転車旅行に挑戦、精神的に大きく成長する少年を主人公に、彼を支え、暖かく見守る家族を描いたホーム・ドラマ。行信（木村一八）は自転車が大好きな高校一年生。タクシー運転手の父親（愛川欽也）とスーパーのレジ係をしている母親（泉ピン子）、中学生の妹（岩立絵美）の四人家族で、東京の団地に住んでいる。ある日、行信が「転校したい」といい出して、一家は大混乱。困った父親が酒の勢いも手伝って「新潟の糸魚川の親戚まで自転車で行って相談してくれば」とけしかけ、その気になった行信が母親の反対を振り切って一人旅に出る。東京から埼玉、群馬へ。碓氷峠では知り合ったオートバイのお姉さん（石田えり）と甘酸っぱい心のふれ合いが、そして松本を過ぎて間もなく、ちょっとした不注意から自転車を大破させ、その後は徒歩で糸魚川に――。反抗期を迎えた少年の心情、親のとまどい、身近で難しい問題を要領よくまとめて成功している。美しい風景をふんだんに取り入れたロケも効果的。ただ泉に、もう少し内面的な演技が欲しいところ。その反面、新人・木村一八（横山やすしの長男）が期待に応えて熱演。まだ甘さは残るが、今後の成長が楽しみだ。【以上、毎日新聞1984/10/10付「視聴室」より引用（署名：三）】