元ジャズマンの父と暮らす、母のいない３姉妹の愛の行方を横浜を舞台に描く。【以上、文：かおる】「港町横浜を舞台にした三話完結のメロドラマ。五木寛之の書き下ろしを石松愛弘が脚色、女の旅立ちと男の自立を三人姉妹それぞれの生き方の中に描いている。きょうの第一話「誘惑」は、長女こずえ（大原麗子）を中心としたストーリー。こずえは横浜の繁華街にある良文堂書店につとめて十二年になるベテラン店員。腰かけのつもりで勤めたのだが、職場の後輩からもハイミス呼ばわりされる年齢になった。家族は幼稚園の教師をしているみき（高橋洋子）と女子大生さえ（伊藤蘭）の妹二人と元ジャズメンの父親勇作（北村和夫）で、母親は早く亡くなって、こずえが一家の柱になっている。ある日、こずえは良文堂社長の根岸文造（児玉清）から結婚を申し込まれた。文造は自分の過去を話し、母も前の妻も彼を捨てて外国へ行ってしまったと打ち明ける。「赤い靴」を歌うと「やめてくれ」と苦しそうにいう彼の心の傷をみたこずえは結婚に踏み切れないでいるとき、奇妙な万引き事件がもとで八田竜平（火野正平）という正体不明の男と知りあった。八田はこずえの家族にさまざまな波紋をひきおおこす――。三人姉妹の愛のゆくえをオムニバス風につづっているが、八田なる男の設定が巧みで、火野正平がそれに応える演技をみせている。【この項、毎日新聞1982/02/27付「視聴室」より引用（署名：佐）】」