子殺しの犯人を裁く検事とかつてその犯人の子を宿し堕胎した検事の妻の苦悩を描く。検事・天野葉蔵（露口茂）は〝わが子殺し〟の犯人・瀬川浩二（小坂一也）の事件を担当することになった。葉蔵には妻・美和子（佐藤オリエ）との間に心臓を患っている６歳の娘がいた。美和子は地検の前で偶然、大学時代の友人・妙子（加賀まりこ）と会った。妙子は浩二の別居中の妻で、参考人として地検に呼ばれてきたのだった。15年前、浩二と親しくつき合っていたのは美和子だった。優柔不断な浩二に別れを告げた時、美和子は妊娠の事実を知ったが、迷ったあげく、彼女は子供を堕したのだった。葉蔵は社会正義を維持するために第二の浩二の出現を防ごうと厳しい求刑を決意する。一方、浩二も罪をあがなう気持ちになっていた。そんな時、葉蔵は美和子と浩二の過去を知った……。検事に扮した露口茂。これまでも刑事・医者・教師と固い役が多かった露口だが、検事役は20年近い芸能生活でも初めてという。だが一番苦労したのは犯人の取り調べ。「どうしても『太陽にほえろ！』の山村刑事のイメージがあるでしょう。それをどれだけ消すことができたか、自分ではできるだけ生身の人間の味を出したつもりなんですが…」果して刑事から検事への変身に成功したかどうか？【以上、「週刊テレビ番組」（株式会社東京ポスト刊）1982年１月22日号より引用】VTR作品。【参考資料：書籍「松竹百年史　映像資料・各種資料・年表」（1996/01/22、松竹刊）】