全国心身障害児福祉財団の「子どもと障害者のふれあいキャンペーン」のために制作された作品で同時期に各地でホール公開もされたという。脚本の水出弘一氏が後年、記している。「赤ん坊の時の病気が原因で、車椅子での生活を余儀なくされているケンちゃんが、健常者の子供たちと同じように戸外で昆虫採集をしたいと願っている。だが、いまひとつ勇気が出ない。そんなケンちゃんをドラえもんとのび太たちが励まし、タイムマシンで古代の世界に連れて行く。ケンちゃんはそこで珍しい古代蝶たちの〝渡り〟に出会う。蝶も渡り鳥と同じように別天地を求めて集団で海峡を渡ることがあるのだ。ケンちゃんはそこで一匹の蝶を捕まえる。しかし、ケンちゃんは自分にも蝶が採集できたということだけで満足である。捕まえた蝶はすぐ仲間の群れに戻してやる。ケンちゃんがドラえもんやのび太たちと友達になって、明るさを取り戻したのはいうまでもないことである。これも、実をいうとぼくがシナリオを担当したものである。演出家と一緒に実際に養護施設を訪れ、そこで障害者の子供たちと一緒に遊んで取材させていただいた思い出もある。【この項、水出弘一著「「ドラえもん」と野比家の謎」（1997/12/20初版、発行：株式会社 本の森出版センター、発売：株式会社コアラブックス）より引用】」