亡き親友の子を引きとって育てた雪（池内淳子）と、今は大学生にまで成長したその子、竜彦（三浦友和）との、本当の親子もおよばぬ、強いきずなで結ばれた母と子の愛の姿を描く。【以上、毎日新聞1975/11/09付より引用】ヨットに青春を燃やす若者と、彼の出生の秘密をめぐる人間模様を描くドラマ。グレープの主題歌「無縁坂」もヒット。このあと『ひまわりの道』(1976)、『ひまわりの家』(1977)とシリーズ化された。「女性が一人で、けなげに生きていく姿は、茶の間の共感を呼ぶらしい。そんな女性の生活に、生さぬ仲の子供をからませて成功したのが『つくし誰の子』シリーズだったが、その路線にサスペンスメロドラマ風の味つけをしたのが、この作品だ。池内淳子演じるヒロイン雪と息子竜彦（三浦友和）は、例によって義理の仲。しかし、竜彦は、実は雪の恋人・竜平（木村功）と雪の友人との間に出来た子供というところに謎がある。生みの親は雪にだけに事情を打ち明けて死んでしまった。竜彦はもとより、竜平もそんな事情は知らない。そして二十年――幸せに暮らす雪の前に竜平があらわれた。しかも彼は雪を忘れかねている様子で、雪の心も動揺するが、彼女は真実を話そうとはしない。以上が第四回までの話。メロドラマ基調だが、べとつかないのは池内淳子のカラッとした芸質のせいである。中年女性の秘めた愛を描きながら、夜九時台という時間帯向きに健全娯楽編にしあがっている。登場人物がみんないい人。義理の子の三浦友和も素直で、清潔で、りりしくてというところに、出来過ぎの感があるが、その分、茶の間の安心感は高まるわけだ。杉村春子が好助演、女優陣に比べて三浦を除く男優陣が、ふるわないのが気になる。【この項、新聞「毎日新聞」1975/12/01付「視聴室」より引用（署名：水）】」「杉村春子の名はドラマづくりには欠かせぬ存在として、視聴者に強烈にアピール、ことに本作ではブラウン管という小さな画面を意識させぬほどの演技力を見せつけ、バイプレーヤーの大切さを改めて知らしめた。【この項、「昭和ヒーロー事典　芸能編」（講談社文庫刊）より引用】」【異説】書籍「日テレドラマ半世紀」（2005年、日本テレビ刊）では、監督・寺内小春、脚本・田中康隆と記載されているが明らかに誤り。【役名（演技者）】雪（池内淳子）、志津（沢村貞子）、竜彦（三浦友和）、志津の一人息子・恭助（夏木陽介）、伊丹竜平（木村功）、志津（杉村春子）、伊丹俊子（白川由美）、竜彦のヨット仲間・柴田（桑原大輔）、俊子の子・伊丹信一（森谷泰章）、雅子（佐藤友美）、雅子の娘・ユリ（長谷川由紀）、幸蔵（山形勲）、梅子（岩本多代）、遼子（池上季実子）、加賀（内藤武敏）、佐竹（織本順吉）。【参考資料：書籍「日本タレント名鑑'81」（1980/12/30、VIPタイムズ社発行）［小畑あやの項］】