その日暮らしの浪人・民谷伊右衛門（田村高廣）は、ある日、博奕場の帰り、呉服問屋、伊藤屋の娘・お梅が地回りの石蔵、次吉郎にからまれているのを助ける。そのことからお梅は男ぶりの伊右衛門に慕情をいだく。しかし、これは、伊右衛門を伊藤屋に婿入りさせ、甘い汁を吸おうと、博奕仲間の直助権兵衛（東千代之介）と按摩・宅悦（青山宏）が仕組んだ芝居だった。一方、茶屋女から、侍の女房になったお岩（瑳峨京子）はしあわせそのものであった。お岩が邪魔な権兵衛は、宅悦に毒薬をもらせ、お岩に薬を偽ってのませた。そのとたん…。【以上、「週刊TVガイド」1970/08/14号より引用】「公金横領の疑いをかけられたことから傘貼り浪人となった民谷伊右衛門（田村高廣）は、水茶屋の女だったお岩（嵯峨京子）との貧乏暮らしに嫌気がさしていた。ある日、伊右衛門は町で地回りに絡まれている呉服問屋「伊藤屋」の娘のお梅（北島マヤ）と婆やのおまき（藤代佳子）を助ける。それは、実は伊右衛門の賭場での仲間である遊び人の権兵衛（東千代之介）が、子分の石蔵（田村保）たちと仕組んだ芝居で、それによって伊右衛門に惚れたお梅を利用して金を得ようというのだった。伊右衛門はお岩の妊娠を疎ましく思っていたが、夫婦喧嘩の際に土間へ落ちたお岩は顔に火傷を負い、子供も流産してしまう。そんなお岩を心配するのは、お岩の妹・お袖（榊ひろみ）と夫の小平（睦五郎）だが、実は小平はそもそもお岩に惚れていた水茶屋の客。そんな小平とお岩の仲が怪しいという権兵衛の口車に乗った伊右衛門は、伊藤屋に招かれ、本気でお岩と別れて、お梅と結婚しようと考える。その話を権兵衛から聞かされ逆上したお岩は、帰宅した伊右衛門に包丁で斬りかかるが…。出て行った伊右衛門に替わってお岩の元を訪れたのは、小平だったが、続いて訪れた宅悦から隠れるため、押し入れに入る。宅悦は権兵衛に雇われ、火傷の薬だと偽ってお岩に劇薬を渡して逃げるように帰って行く。それを顔に塗ったお岩は、二目と見られない醜怪な容姿となってしまう。お岩の顔を見て驚く小平だが、そこへ戻って来た伊右衛門に密通の疑いをかけられ斬り殺されてしまう。そして、伊右衛門にすがるお岩も斬り殺されてしまうのだった…。【この項、文：市村】」【演技者…役名】「田村高廣…民谷伊右衛門（浪人。元・直参旗本）、嵯峨京子…お岩（民谷伊右衛門の妻。妊娠中。元は水茶屋「三浦屋」の女）、睦五郎…小仏小平（商人。元は刺青者）、榊ひろみ…お袖（お岩の妹。小仏小平の妻）、北島マヤ…お梅（伊藤屋の娘）、青山宏…宅悦（按摩）、藤代佳子…おまき（お梅の婆や）、田村保…石蔵（直助権兵衛の子分の地回り）、佐藤充男…桃助（石蔵の弟分）、溝呂木但…次郎吉、藤夏子…お大（おいろの仲間の夜鷹）、岩倉高子…おくま（おいろの仲間の夜鷹）、北原義郎…伊藤屋喜兵衛（呉服問屋の主人）、万里昌代…おいろ（宅悦の知り合いである夜鷹）、東千代之介…直助〔ナオスケ〕権兵衛（遊び人）。【この項、文：市村】」【データ協力：市村】