里見弴の書き下ろしドラマ。出戻りの娘と父の間に行き交う愛情を描く。【以上、文：アイリス】「荒井茂（中村伸郎）は有名な理学博士。娘の光子（岡田茉莉子）は父親っ子だが、フランス人の継母イボンヌ（東山千栄子）と折り合わずに、早々に結婚させられた。だが、三十歳ちょっとで夫に死なれた光子は再び家に戻ってきて父親の愛情にすがりつく。サンルームのなかの父娘の幸福な日々。荒井はこうした生活が、光子にとってはほんとうの幸福ではない、再婚すべきだと、ふと考える。光子にきけば再婚の気もなく、別に好きな人もいないらしい。ただ、光子の心を時々かすめるのは、沢という書生（木村功）に、結婚前、愛情をいだいたことがあったということ。沢は荒井のまな弟子で現在は仙台の大学で助教授になっている男。灯台もと暗し、荒井はふたりの淡い恋を見すごしていた自分をせめた。静養と見学を兼ねて京都の宿に休んだ荒井は沢の訪問を受けた。光子は沢を連れて京都を歩く。ある日、宿のこどもと遊びたわむれる沢を前に、光子はふいに沢との家庭を夢みた。【この項、「読売新聞」1964/01/01付より引用】」【役名（演技者）】光子（岡田茉莉子）、荒井（中村伸郎）、イボンヌ（東山千栄子）、沢（木村功）、よし（亀井光代）、かね（沢村貞子）、田村（神山寛）。