第48回放送文化基金賞番組部門優秀賞受賞作品。第48回放送文化基金賞番組部門演技賞受賞（笑福亭鶴瓶）対象作品。第38回ATP賞テレビグランプリドラマ部門優秀賞受賞作品。「舞台は父１人娘１人の父子家庭。父は生まれながらに耳が聞こえないろう者。父の耳代わり口代わりを務めてきた娘が、ひょんなことから出会った男と恋に落ち、結婚するまでの親離れ子離れのてんまつを明るく温かく描くホームコメディーです！野々村静（吉岡里帆）は地方の商店街で写真館を営む父の純介（笑福亭鶴瓶）と二人暮らし。純介は生まれつき聴覚障害を抱え、同じくろう者だった母は静が幼い頃に他界している。耳の聞こえる静は、幼い頃から純介の耳代わり口代わりを務めてきた。そのため、静には相手をジッと見つめたり、身ぶり手ぶりで話すクセがある。父との会話には視覚情報が重要だからだ。だが、そのクセは「こび」とか「ガサツ」と受け止められ、バイト先のファミレスでは同僚からは嫌われ、店長からは好意を持っていると勘違いされ、傷つくことの多い毎日。ある時、静はファミレスの客として面識のある道永圭一（中島裕翔）がケバブの出店でつるし上げられている場面に出会う。現金の持ち合わせがないのに注文してしまい、言葉の分からない店主相手に立往生していたのだ。静の助け船で難を逃れた圭一も、空気を読むことが苦手な男だった。いわゆる“普通の”コミュニケーションが苦手な２人は、互いにひかれあっていくが…。【この項、NHK番組広報資料より引用】」「『しずかちゃんとパパ』（ＮＨＫ、蛭田直美作）は、言葉の話せない父親を持った娘が理想の男性を見つけ、紆余曲折の末、結婚に至るまでのお話。テレビドラマの場合、一般に登場人物が自己の心情を何事も理路整然と言葉で説明してしまう体裁をとると分かりやすいドラマになる半面、深みもなく薄っべらく映ってしまうという二律背反の関係に陥るのだが、本作のように、言葉が話せない父親が手話を通じてコミュニケーションをはかり、また娘の交際相手の男性も微妙な心情の機微に疎い人物ゆえ、何事も明瞭に言語化し話してしまう気質に設定するということで、ドラマ構造上、心情を何事も言語化して説明するシチュエーションに据えると果たしてどういうドラマになるのか、というところに挑戦していることになる。結果は、決して薄っぺらい内容にはならなかった。むしろいくら言葉を重ねても、その先により深い、言語化できない、それぞれの根底を流れる大切な思いが存在することを浮かび上がらせてくれた。多少できすぎた寓話みたいな面もあるが、総じて良い作品というものは寓話と紙一重なところがあるものだ。【この項、文：古崎康成（月刊「ドラマ」（映人社刊）2022年８月号より引用）】」【その他のクレジット表示】資料提供：持田　昭俊、吉岡 和彦。取材協力：松尾　輝明、高瀨満亜基（クレジット表示では「高」は「はしご高」）（高瀬満亜基）、笹倉　猛見、松村　享洋。撮影協力：栃木市(1)-(8)、あきる野フィルムコミッション(1)-(7)、小山町フィルムコミッション(1)、昭島市(1)-(4)(6)(8)、久喜市(2)、狛江市(4)-(8)、青梅市(8)。劇中映像：名古屋フィルハーモニー交響楽団『ダンソン 第２番 マルケス』（指揮：川瀬賢太郎）(2)。【各回サブタイトル】第１回「ケバブサンドの秘密」（2022/03/13放送）、第２回「聞こえない音楽会」（2022/03/20放送）、第３回「空飛ぶ自転車」（2022/03/27放送）、第４回「涙のけんちん汁」（2022/04/03放送）、第５回「パパのいない夜」（2022/04/10放送）、第６回「この優しい世界」（2022/04/17放送）、第７回「パパの深い海の底」（2022/04/24放送）、最終回「紙吹雪の中で」（2022/05/01放送）。【役名（演技者）】野々村 静（吉岡里帆）、道永圭一（中島裕翔）、野々村純介（笑福亭鶴瓶）、鹿島梅子（萩尾みどり）、篠崎幸江（戸田恵子）、鈴間さくら（木村多江）、八木康隆（稲葉友）、長谷川真琴（藤井美菜）。【出典：ドラマ本体のクレジット表示より採録（採録：古崎康成(1)-(8)）】