テレビドラマデータベース第11回（2007年度）総合ベストテン単発ドラマ部門第３位。第45回ギャラクシー賞優秀賞受賞。第62回芸術祭優秀賞受賞作品。「漫画家水木しげるのニューギニア戦の手記をもとに、旧日本軍の非人間性と戦争の不条理なまでの凄惨さを、戦時と現在と交錯させつつ描いた作品。水木しげる（香川照之）が主人公に設定されていたほか、鬼太郎やねずみ男、目玉親父といったおなじみの水木作品のキャラが、アニメーションで登場していた。世に広く知られた人物を主人公にしたため、よくできた物まねのように見えてしまう面があった。また、カメラが切り取った映像からは、ニューギニアという戦場の高温多湿な風土、悪化した衛生環境などによる臭気といったものがシャットアウトされており、そこにあるはずの悲惨な状況と、実際に映っている美しい世界の落差に違和感があった。しかし、敗色濃い戦場という空間に押し込められた人間たちが味わう感覚が、ほのかなユーモアをたたえつつ幻想的な手法で描かれることにより、独特のテンポと浮遊感として作品のなかに定着されていた点は注目に値する。【この項、文・練馬大根役者】」「1971年冬、水木しげる（香川照之）は「ゲゲゲの鬼太郎」などの執筆で忙しい中、無理やりに休暇をとって、赤道直下のニューギニアを旅した。水木は、1943年21歳の時に召集され、ニューギニアのラバウルに送られた。当時ニューギニアは連合軍に島の半分を占領され、日本軍の敗色は濃厚。水木二等兵は最前線の小隊に配属され、過酷な戦場を生き抜いた。以来、26年ぶりに踏むニューギニアの大地だった。そして、これがそもそものきっかけだった…。1972年となり、日々「鬼太郎」の締め切りに追われる水木の周りで不可解な事件が起きる。行きもしないレストランからは請求書が届き、連れ込み旅館で水木の姿を見かけたと編集者には言われる始末。おまけに水木の行く先々には、夢か幻か、南方の象徴である「ハイビスカス」の花が咲き誇っている…。やがて水木は「何者かに押される形」で、自身の戦争体験を漫画に描き始めた…。1943年、丸山二等兵（＝水木）は、ニューギニアのバイエンにいた。ここは米軍と対峙する日本軍の最前線基地。初年兵として陣地構築の為、椰子の木を運び、穴を掘り、食料調達に働かされる日々だった。要領の悪い丸山は鬼軍曹・本田（塩見三省）にビンタを食らう毎日だった。敵よりも上官が怖かった。敵襲に備える日々の中で、仲間の境田（建藏）は豚を捕りにいく為に乗ったボートから落ちてワニに食べられてしまった。加山二等兵（神戸浩）は、行軍の最中、敵の銃弾を浴びて倒れた。丸山は彼の小指を切って遺骨代わりにした。入隊前からの戦友・赤崎（北村有起哉）は敵の機銃掃射にやられた…。水木は、自らの戦場体験を渾身の力を振り絞って描いた…。そして、漫画は否応なく、戦友たち皆が玉砕したあの「聖ジョージ岬」へと進んでいく。「総員」が「玉砕」への道に向かわざるを得なかった、あの理不尽な出来事へと…。【この項、NHK広報資料に役名と出演者名を補足。一部表記方法を変更。引用・補足・練馬大根役者】」撮影協力・鹿児島県奄美市、パプアニューギニアイーストブリテン州、水木プロ。軍事考証・寺田　近雄。風俗考証・天野　隆子。歌謡考証・小野　恭靖。【出典：ドラマ本体のクレジット表示より採録（データ協力：練馬大根役者）】