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ドラマ 詳細データシナリオ登龍門2004優秀賞受賞作品 目の鱗、ぽろり

日本テレビシナリオ登龍門2004優秀賞受賞作のドラマ化。「シナリオコンクールの優秀賞受賞という割にはシンプルなストーリーである。しかし、奇をてらうことなくディテールにこだわったシナリオに好感が持てる。脚本は北村尚子という人。以下、あらすじを簡単に紹介するが、未見の方は独自にご判断を。東京近郊に住む仲の良い中年夫婦、欽二(泉谷しげる)と澄恵(伊藤蘭)。一人娘希帆(水川あさみ)は東京でOLをしているが、東京での暮らしがうまくいかないのか、実家に戻ろうか迷っている。たまの休みに戻っても、相変わらず口うるさい父親とつい親子ゲンカのようなことになり、何も言い出せなくて帰ってしまう。ある日、突然澄恵が倒れ検査入院する。一人では自分のことすら出来ない父親に母親の面倒は見れないからと、希帆は戻ってきて実家から会社に通うようになる。欽二は、澄恵が末期ガンで、あとわずかしか生きられないことを知る。うろたえ、落ち込むが、自分がガンだと知らされていない澄恵の前では、努めて明るく振る舞う。死ぬまでに少しでも楽しい思い出を作ってやろうと欽二は澄恵を無断で病院から連れだし、自転車の二人乗りデートを決行する。澄恵はとても楽しそうにはしゃいでいる。希帆も母親の病気のことを知り愕然とする。それとなく「こっちに戻ってこようかな?」と澄恵に言う。「お父さんがいるから大丈夫よ」と澄恵はやんわりと否定する。「あんなお父さんでも?私に言わせれば美女と野獣よ」と希帆は澄恵を笑わせる。「自分にとっては何よりもお父さんが一番なの」と澄恵は言い、欽二とのなれそめを希帆に話す。希帆は父と母が深い愛情で繋がれていることを知り、ウザイだけと思っていた父親への見方も変わってくる。澄恵が死んだあと、欽二は抜け殻のようになってしまう。そんな欽二へのメッセージを澄恵はスケッチブックに描き残していた。希帆は母から託されていたスケッチブックを父に渡す。そこに描かれていたものは…。またガンで人が死ぬ話かと思いつつも、不思議とこれは後味が良い。涙は誘うが、見終えて清々しい気持ちになれた。臨終シーンを一切省くなど、無駄にお涙頂戴にしていないところも良い。シンプルな構成で、登場人物も最小限にとどめられているし、クッキーの箱、自転車の荷台、納豆、赤い靴などの様々なアイテムが効果的に使われている。例えば、冒頭で欽二が買う桜餅がそうである。顔なじみの和菓子屋のおばちゃんが、欽二が買い物に来たのを「珍しいねー」と言うと、「娘が帰ってくるんだ」と欽二はぼそっ言う。「優しいねぇ」と冷やかされると「俺が食べるんだよ」と強がる。その後、帰ってきた娘を前にすると、欽二はつい小言を言ってしまい、希帆から疎ましく思われる。それでも桜餅のパックを無造作に娘の前に放り投げるように置く。「またいっぱい買ったのねー」とか、「開けっぱなしにしておかないでよー」とか希帆に言われると、「文句があるなら食うな」と自分で桜餅を食べ始める。ところが希帆は希帆で「東京のおいしいケーキを買ってきたから一緒に食べよう」と澄恵に向かって言う。「お父さんもいただいたら?」と澄恵に言われても「もういらねぇよ」と言うしかない。欽二はひとりで3つも4つも桜餅をほおばる。娘に対し素直になれない父親の滑稽さ、武骨さがよく出ていておかしい。また、欽二と澄恵が自転車デートをしたときに語る、その自転車に名前を勝手に書いたことで希帆が怒ったエピソードなどは、父娘と言えども気持ちが通じ合うということの難しさがうまく表現されていて、実に良いシーンである。しかし、シナリオの良さもさることながら、このドラマ、実は演出のうまさが随所に光っている。それは最初に娘の希帆が帰ってくるくだりにも見られる。サイト上で公開されているシナリオを見ると、勤めはじめて2週間しか経っていない新人OLの希帆が、ちょっと愚痴りたくて帰ってきた感じに描かれている。しかしドラマ版では、最初の電車のシーンで、希帆に就職情報誌を読ませている。しかも、その表紙にはUターン特集・千葉/房総版と書かれている。このカットだけで、この女性が今の仕事を辞めることを考えており、たぶん実家があるだろう千葉の方へ向かっていることが読みとれる。勤めはじめて2週間というセリフも削られているので、新人OLという設定もなくなっている。そういう思いで帰ってきている娘だということがわかるだけで、その後のシーンの意味が膨らむ。セリフの追加とかをしているわけではなく、演出で視聴者の想像力をかき立ててくれる。または、回想シーンで澄恵と欽二が出会うシーン。シナリオでは澄恵は「面接に行く途中」だと、初めてあったばかりの欽二に言っている。ドラマではそんなセリフは削除され、「急いでいるんです」とだけ言う。この方がスッキリしている。今度は必要以上に説明していると思われる箇所を削り、焦点をぼかさないよう配慮されている。シナリオを読むと、そのほかにもカットされてるシーン、追加されてるシーンがいくつかあることがわかる。また、セリフも意外と多く変えられている。もちろん通常のドラマ作りにおいて、そういうのは当たり前であろう。しかし、仮にもシナリオが賞を取っているのである。演出家が個性を発揮しまくり、もとの雰囲気をぶち壊しにするわけにはいかないに違いない。その点、この演出家は(演出家が変更したとは一概に言えないが)元のシナリオは最大限に生かしつつ、実に適切な変更を加えている。そして、それが成功していると言える。大胆に付け加えられたたところがひとつある。冒頭の桜餅をもう一度ラストに出すのだ。東京に帰る希帆を欽二は車で駅まで見送る。別れの挨拶は車を降りるときに交わされる。ここで欽二は桜餅のパックを差し出す。これはシナリオにはない。シナリオでは、希帆が車から降りた途端に欽二は車を発進させる。が、すぐに停めて駅に入っていく希帆を、姿が見えなくなってもずっと見つめている。という風に書かれている。あまりくどくなりすぎないようにと気配りがされていて、これはこれでとても良いのだが、ドラマを見てから読むと物足りない気がする。ドラマ版の続きはこうである。無人駅のホームのベンチで電車を待つ希帆。帰ったと思った欽二がホームまでどんどん入ってくる。希帆の隣に腰掛ける。希帆はさっきもらった桜餅を父に差し出す。欽二は無言でそこからひとつ取って食べ始める、希帆もひとつ食べる。父娘並んで桜餅を食べている。そこへ電車がやって来る。無言で希帆が乗り込む。ホームに佇む父とドア越しに向かい合う。娘は笑顔で父に手を振る。父は無言でそれに応える。言葉は交わさないが、お互いが相手に対する見方が以前とは少し変わっている。お互いの全ては理解してないが、認めあう関係になったことが感じ取れる。このシーンはまるまるシナリオにはない。ホームに入って以降まったくセリフをなくし(もともとシナリオにはないシーンだから無理もないが)映像だけを積み重ねる演出が秀逸である。念のため付け加えると、これがこのドラマのラストシーンではない。このあと、さらにもう一回泣かせてくれるオチが用意されている(ただし、これはシナリオにあり)。2両編成の電車や無人駅など、ちょっと田舎なロケーションも素晴らしい。海があり山があり、田畑があり、坂道がある。中年夫婦二人が、病院を抜けだし錆びた自転車に二人乗りして、そんな風景を疾走するのだ。それを透明感ある映像で切り取った撮影は、画の力だけで涙してしまいそうだ。また、それを演じるキャストも実にハマっていた。ぶっきらぼうでだらしなく、言葉遣いも乱暴で、オマケに禿頭。およそ娘にもっとも嫌われるであろう父親・欽二を泉谷しげる。照れ屋で憎めなく妻に見せる優しい態度も嫌味がない。澄恵と希帆が話す、父親の唯一のとりえはゴキブリを退治してくれるところだというシーンのコミカルな演技も申し分ない。ハマリ役である。若い日の回想シーンで、帽子こそかぶって頭は隠しているが、無精ひげ面が今とほとんど変わらないのは、さすがに若き日のランちゃんが惚れるにはキツイだろうと思わなくもないが、そこはご愛敬。あまりの可愛さに思わずランちゃんと書いてしまったが、夫に対して終始「ですます調」を使い、ほどよい品と可愛さがマッチした母親・澄恵役を伊藤蘭が好演。この可愛さなら欽二のように、誰に見られようとも町中をまるで高校生のように自転車二人乗りしたくなるに違いない。演出は高橋秀明という人で、全文検索で調べてみると、プロデューサーの欄で2004年に2度だけ登場するのだが、同一人物なのだろうか?今回が初演出ということなのかもしれない。記憶して今後に注目したいと思う。このドラマは、優れたシナリオを優秀なスタッフ、キャストがより高い位置に押し上げた、恵まれた作品と言えるだろう。好調日テレ水曜10時のTears Wednesdayの短編版のようなこの一本、少し気が早いが本年度単発ドラマ部門のベストテンに是非入れたいと思う。【この項、文・いたぞう】」撮影協力・千葉県フィルムコミッション、市原市、市原市国保市民病院、ホンカ房総(海上土地改良区)、市原園芸高校、市原市加茂地区のみなさん、加茂城旅館、鋸南町役場、鋸南町ふるさと観光農園のみなさん、重田菓子店、東京ロケーションBOX、日比谷公園。車輌協力・ウインカー、ランナーズ。特機協力・グリフィス、カースタントTA・KA。持道具協力・エステール、PELLE BORGA、ART/BERG。衣装協力・コムサ・イズム(COMME CA ISM)、enracine、acide、ニコル(nicole)、トマリエイコ、IKUKO、荒川、Amour。
キー局 NTV 放送曜日 放送期間 2005/03/26~2005/03/26
放送時間 10:30-11:24 放送回数 1 回 連続/単発 単発
主な出演 泉谷しげる水川あさみ伊藤  蘭田口 主将大島 蓉子松本じゅん、(エキストラ・トライアルプロ
主な脚本 北村 尚子
主なプロデューサ 大平  太佐藤 禎剛(泉放送制作)、(広報・服部亜希子)(スチール・笠井 新也
主な演出 高橋 秀明、(演出補・茂山 佳則)(助監督・山田 隆治黒沢芙美子徳水 星慈)(記録・杉谷小百合
局系列 NNN
制作会社 NTV
制作協力 泉放送制作
制作 (制作担当・児島 冬樹)(制作進行・見寄 修蔵)(制作デスク・大下 由美)
音楽 (効果・選曲・岩本 泰乃阿比留奈穂子林 久美子)(MA・山本 英樹
撮影技術 水梨  潤、(TP・秋山  真)(LP・山本 智浩)(照明・横路 和幸保坂 裕之)(音声・岡田 平次)(VE・高田 彰彦)(VTR・外城 勇一)(編集・宮崎 清春)(EED・柳生 俊一)(撮影助手・門田  健)(音声助手・毛利 太郎鈴木 慎治蓬田 智一)(照明助手・金子 拓矢諸岡  亮)(編集助手・宮下  蔵白石 孝弘)(技術協力:エヌ・ティ・ビー映像センタージャパンヴィステック
HP
美術 渡辺 俊孝、(装飾・森田 謙吾)(美術進行・横張  聡)(特殊効果・山室 敦嗣)(メイク・永田 愛子濱嵜 仁美)(衣裳・高田 彰久)(持道具・若林 一也)(美術協力・日テレアート(日本テレビアート))

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