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ドラマ 詳細データ特別企画2時間ドラマ 雨の降る駅

舞台は駅の待合室で、外は雨が降っている。2時間枠の中で、舞台はそこから動かない。大原と田村は恋人同士だが、駅で別れの場面を迎えようとしている。また、これから恋を始める若いカップルがいる。そしてもう一組、別れて暮らす子どもに会いにやってきた女と、昔の亭主がベンチに座っている。この3組の心理劇を中心に、駅に出入りする人々の形態が、ドラマと同じ2時間の流れの中で描かれる。しかし一組の話が終わるや、タイミングよく別の話がはじまる不自然さなどが致命的で、映画的時間を封じ込めたこの試みは成功したとはいえない。ただ脚本の鎌田敏夫は気に入っているようで、以下のように記している。「三十年ほど前に大原麗子さんと田村正和さんで、『雨の降る駅』というドラマを作りました。妻子がいる男と何度も別れようとして別れられない。これで最後にしようと、温泉宿で一夜を過ごして、雨の降る朝、山間の小さな駅に来る。そこから始まるドラマです。大原さんは上り列車で東京へ、田村さんは下りで新潟へ、それぞれの列車に乗ればもう二度と会うことはない。放送時間は二時間、待合室で経過する時間もほぼ二時間。雨の降る駅からライブでお送りします、というようなドラマでした。「十年たったら、今の自分がどんなに若いか分かるよ」このセリフは、大原さんのセリフではありません。待合室で電話をかけまくっている中年女・島倉千代子さんのセリフです。日舞の名取(なとり)だと売店のおばさんには言っていますが、実は民謡酒場の仲居に過ぎません。彼女は、妹に預けた娘に会おうとやってきたのに、「男と別れたときだけ娘のことを思い出す」と、妹には手厳しいことを言われ、やっと現れた娘からも、「私はおばさんの子供だと思ってる」と突き放されます。上り列車に乗る大原さんを、田村さんがホームで見送ります。その顔があまりに切なくて、発車寸前で大原さんは列車から降りてしまいます。「そんな顔をしたら、行けないじゃない」しばらくして、下り列車が来ます。ホームで見送るとつらくなるからと、二人は改札口で別れます。発車のベルが聞こえてくると、大原さんは、思わず改札口を駆け抜けてホームに行こうとする。しかし、地下道の階段を上がろうとしたところで、足が止まります。行きたい。でも、行くと別れられなくなる。二度と会えないかもしれない。行かなければ。いや、行ってはいけない。でも、行きたい。これだけの複雑な感情を、鳴りつづける発車のベルを背景に、大原さんの後ろ姿と表情だけで表現しきった名シーンでした。大原麗子さんが人生で待ちつづけてきた淋しさが、演出家の腕で見事に引き出されて、長い無言のシーンをもたせたのです。下り列車が行ってしまって、待合室の隅でぼんやりとしている大原さんに、島倉さんが慰めるように話しかけます。「また、男、出来るよ」「もう年だから」と、言う大原さんに、島倉さんが言うのが、このセリフなのです。人生まだまだこれからだよと励ます意味、人生を大事にしてこなかった自分への自責の念。老いを感じはじめたのに頼る人間のいない孤独感。いろんな感情が混じり合ったセリフでした。【この項、鎌田敏夫著「来て!見て!感じて!」(2013/06/04第1刷発行、海竜社刊)より引用】」
キー局 TBS 放送曜日 放送期間 1986/06/06~1986/06/06
放送時間 22:00-23:54 放送回数 1 回 連続/単発 単発
番組名 セゾンスペシャル
主な出演 大原 麗子田村 正和島倉千代子柳葉 敏郎吉田 義夫渡辺 典子佐々木すみ江ビートたけし北野  武)、所ジョージ千石 規子オール巨人根岸 季衣松下 幸枝松下 由樹)、左 とん平
主な脚本 鎌田 敏夫
主なプロデューサ 八木 康夫
主な演出 鴨下 信一
局系列 JNN
制作会社 TBS

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