平凡な主婦のささいな心の揺れが、殺人事件につながるサスペンス。主演の光子を風吹ジュン、夫の和彦を大杉漣が演じる。光子は公務員の夫と体の不自由なしゅうとと暮らす専業主婦。夫婦のすれ違いや介護で疲れていた折に、高校の後輩の県警刑事・依井（永島敏行）と再会、ささやかなデートを重ねるようになった。光子は誕生日の夜も依井と食事を楽しむが、いつも通り出勤した夫がその日を境に行方不明に。数日後に他殺体で発見された。夫に何があったのか。光子には見当がつかなかったが、徐々に普段は見せなかった夫の愛に気付く。平穏な生活のもろさを、静かなタッチで描いた。犯人が明らかになる最後のシーンは秀逸。追いつめられた末に顔を出す人間の弱さと欲が浮き彫りになる。２時間見たかいがあった。【以上、「朝日新聞」2002/11/19付「試写室」より引用。（署名・玄）】