都内の小学校で飼育されていた兎の虐殺騒ぎがあり、世話係だった６年生の・村山可奈（藤原ひとみ）に容疑がかかった。関係者の話によると、可奈は自分から世話係に立候補したが、半年前頃からなぜか反抗的になり、最近は不良と付き合うこともあったという。捜査を担当した所轄の刑事・牛塚孝一（三浦友和）はまず、たまたま可奈に剣道を教えていたこともあり、その無実を信じたいと思った。そんな折、可奈の義父・村山和也（大鷹明良）が刺されて死亡。可奈の母・千恵子（岸本加世子）が夫婦喧嘩の末に殺した、と犯行を自供した。ところが、可奈が「自分が殺した」と証言したことから、捜査陣は大騒ぎになった。「小学生の殺人」に、部長の久慈（辻萬長）は、署内に箝口令を敷き慎重な捜査を指示。牛塚は寝たきりの母親の君子（桜むつ子）の世話を、妻・尚美（原日出子）にまかせきりで、捜査に没頭することになった。牛塚らがまず注目したのは、村山の家庭内暴力。以前、建築現場の監督をしていた村山は、仕事中のケガが原因で酒びたりになり、たびたび千恵子に暴力を振るっていたのだ。捜査陣は、千恵子か可奈のどちらかが犯人で、どちらかが相手をかばっているとみるが、２人の口は固く、他人には知られたくない秘密の存在を臭わせた。「地味な事件を描いているが画面に漂う緊張感を持続させることに成功しており、背景に潜む複雑な心情を丹念に捉えている好編。【この項、文：古崎康成】」「親族殺人事件の真相にひそむ家庭内暴力、性的虐待。担当刑事自身が考える在宅老人介護や夫婦断絶、世相凝視の批判性とリアルな説得力は、火サス枠の水準を超える成果だ。【この項、「GALAC」（放送批評懇話会編集発行）2001年１月号より引用】」