宮島の港に着いた清は、厳島神社を見て竜宮城だと喜ぶが、空腹のため貧血を起こして倒れてしまう。助けてくれたのが巫女として働くもみじだった。泊まる所がないという清をもみじは、自宅へ連れて行く。「広島県の宮島を訪れた放浪の天才画家・山下清（芦屋雁之助）は、空腹から船着き場で倒れてしまい、居合わせた厳島神社の巫女・吉川もみじ（大塚寧々）とその同僚の利子（武田留美子）、乗船客の元村徹（石橋保）に助けられる。利子の弁当を食べさせてもらった清は元気を回復、お礼に巫女の仕事を手伝うことに。清はもみじの実家に逗留させてもらうことになるが、そこには船着き場で清に手際よく手当をしてくれた徹がいた。徹は杓子作りの新しい職人としてもみじの実家である吉川杓子製作所で働くことになったらしい。ある日、もみじの父親・宗平（小坂一也）が虫垂炎で入院してしまい、大口の注文を断らなければならなくなるが、徹が自分に作らせてほしいと申し出る。数日後、徹の手によって達磨の絵の彫られた大杓子は完成、無事に納品されて吉川杓子製作所も信用を失わずに済む。…スケッチをする清と一緒に海岸にいたもみじの幼なじみの旅館の若主人・市橋登（ひかる一平）は、徹がもみじに杓子をプレゼントするのを目撃する。この地域では、男性が女性に杓子を贈るということはプロポーズを意味しているのだった。船着き場に中年女性と幼い少年が降り立つが、それは徹の亡き妻の母親・久美子（中真千子）と徹の息子・一郎（橋本玄輝）だった。清から杓子を贈る意味を聞かされて困惑した徹は、一年前までは医師として働いていたが、妻の病気を治すことが出来ず死なせてしまったことから、家を出たらしいことを告白する。久美子と一郎から家に戻るように懇願された徹は、ついには二人とともに船に乗り込み去って行く。複雑な気持ちになるもみじに厳島神社と水族館で見たスナメリを描いた貼り絵を残し、清は再び放浪の旅に出るのだった。【この項、文：市村】」ロケ協力：日本エアシステム、西日本旅客鉄道広島支社。協力：宮島町、宮島町観光協会。【演技者…役名】「●芦屋雁之助…山下清（放浪の天才画家）、●大塚寧々…吉川もみじ（厳島神社の巫女）、●ひかる一平…市橋登（吉川もみじの幼なじみ。旅館の若主人）、●小坂一也…吉川宗平（吉川もみじの父親。吉川杓子製作所の主人で職人）、●石橋保…元村徹（吉川杓子製作所の新しい職人。実は一年前までは医師で妻を悪性の腫瘍で亡くしている）、●岸本康子…吉川弘子（吉川もみじの母親）、●日高久…厳島神社の宮司、●武田留美子…利子（吉川もみじの同僚の太った巫女）、●中真千子…久美子（元村徹の亡き妻の母親）、●朝日完記…吉川宗平の虫垂炎の手術をする医師、●尾崎麿基…吉川杓子製作所に達磨の絵の大杓子を注文する男性、●橋本玄輝…一郎（元村徹の息子）、●名本忍…厳島神社で結婚式を挙げる花嫁、●富田敏夫…海岸で清を追う漁師？、●光宗美緒…厳島神社で結婚式を挙げる花嫁（幼稚園の先生）？。【この項、文：市村靖介】」【出典：ドラマ本体のクレジット表示より採録（データ協力：市村靖介）】