原作は俳優・長岡輝子の自伝。テアトル・コメディの創立、文学座の女優そして演出家として、一貫して演劇の道を歩んできた長岡さんの家庭には、キリスト教を基盤とした教育者の父の影響があった――。1920年（大正９年）春、吉岡輝子（斉藤由貴）は晴れてミッションスクールに入学し、あこがれの女学生となった。輝子の家は７人家族。大学教師の父・潔（細川俊之）は、ロンドンに留学中だが、母、兄、姉、妹、祖父母に２人の同居人までいて、吉岡家はいつもにぎやかだ。やがて輝子たちが待ちに待った父の帰国の日がやってきた。潔は久びさに会った家族のひとりひとりが、家をあけていた２年間にさまざまな問題を抱えていることに気がついた。長男の信一は幼なじみの人妻との恋に悩み、自暴自棄に陥っているし、長女の恵子はまだ学生の同居人井沢に結婚を申し込まれていた。まだまだ子供だと思っていた輝子までが、いつまでも幼い自分にいらだちを感じているらしい。「……自分がとても頼りなくて……自信がなくて……。あたし、この家から離れて、自分をちゃんとやり直したいの」　輝子は、父の許しを得て規則の厳しいミッションスクールの寄宿舎に入った。　そこで輝子は、寄宿生のあこがれの的・明子（松原千明）や、その友人・大島（陣内譲治）らとのふれあいの中で、新しい考え方や淡い初恋と出会い、少しずつ成長していくのだった。　輝子は卒業式を前に、文芸会の責任者となり、舞台劇を自作自演することになる。輝子に思いを寄せる二郎（辰巳琢郎）の協力などもあり、結果は大成功。だがいよいよ卒業式という時になって、輝子の卒業演説が物議をかもし、退学処分になってしまう。　輝子が壁につきあたった時、輝子を勇気づけるものは、いつも父のあたたかい助言だった。輝子は教師たちの誤解をとくために、もう一度檀上に立った。輝子の真摯な姿勢と熱意が通じたのか、輝子は無事卒業証書を手にするのだった。　卒業した輝子は、演劇の道に進むことを決意し、築地小劇場の研究生採用試験を受けて合格する。そんな輝子に父は、本場の演劇を自分の目で確かめるようにと、ヨーロッパ留学をプレゼントするのだった。【以上、「グラフNHK」（財団法人NHKサービスセンター発行）1985年６月号より引用】「主人公の斉藤由貴ちゃんの憧れの人で「大島」を演じているのが「陣内譲治」という人なんですが、これ「陣内孝則」さんですよね。凄い目ジカラの人で、ずっと陣内孝則さんだと思っていたのですが、当時のグラフNHK1985年6月号91ページに「陣内譲治」と記載されてました。私は絶対陣内孝則さんと思っていたので、たぶんご本人だと思うのですが・・。【以上、文：まなお】」第２回のみ火曜21:50～22:09放送。【役名（演技者）】吉岡輝子（斉藤由貴）、吉岡雅子（渡辺美佐子）、吉岡せん（北林谷栄）、吉岡嘉吉（嵯峨善兵）、大島（陣内譲治）。【参考文献：小林由紀子著「ドラマを愛した女のドラマ」（1995/11/06、草思社刊）、webサイト「NHKクロニクル」（2020/06/23参照、http://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/）、「グラフNHK」（財団法人NHKサービスセンター発行）1985年６月号】【データ協力：まなお】