名古屋市内で古美術商を営む舅・嫁だけの小さな家庭に、妙齢の珍客が訪れた。ヨーロッパ遊学中の息子とパリで知り合い、婚約したと言うのだが…。名古屋空港にひとりの女が降り立った。北海道から来た麻（中原理恵）だ。麻は札幌からはるばる婚約者の都築一男を訪ねてやってきたのだ。名古屋市内。城下町の佇まいが残る一角に都築古美術店がある。店内には年代ものの焼き物や掛け軸が所狭しと並べられ重々しい雰囲気。店の奥では女店主のみな子（草笛光子）と同じ古美術商の高島（花沢徳衛）が提げ灯籠をめぐって議論を戦わせていた。高島は提げ灯籠がホンモノだと言い、みな子に買わせたいと思っている。が、最近めききの腕をあげているみな子は高島の申し出をテイ良く断ってしまった。高島が帰った後、みな子は義父の一道（笠智衆）にこの一件を報告した。一道は「（品物を）見たかったな」とポツリと言う。めききの名人と言われた一道は目の手術後引退した。今では死んだ息子の嫁・みな子が店を切り盛りしている。孫の一男はヨーロッパ遊学中で、来月には帰国する予定だ。一道もみな子も一年半ぶりの一男の帰国を楽しみにしていた。そこへ先程の娘・麻が来た。歌の勉強にパリに行っていた麻は三か月前に一男と知り合ったという。【以上、「週刊TVガイド」1982/04/23号（東京ニュース通信社刊）より引用】【データ協力：高校教師】【参考資料：WEBサイト「Yahoo!オークション」、書籍「中部日本放送50年のあゆみ」（2000/12/15、中部日本放送発行）】