繁栄の時代から不況の時代を迎えた社会を舞台に、夜間大学に通う若者と、戦後の苦しい時代を生き抜いてきた中年男性を対比させながら、社会・家庭・時をテーマに描いていく。信一（小倉一郎）は、父親が蒸発して以来、母親と２人暮らし。昼は金属加工工場に勤め、夜は私立大学の２部に通っている。会社には信一が理想の父親像として尊敬している課長の高岡（小林桂樹）がいて、それなりに充実した日々を送っていたが、ある日突然会社が倒産してしまう。やがて再就職を巡って信一と高岡の間に不思議な友情が芽生えるが…。【TBSチャンネル広報資料より引用】坂口良子がバーで働きながら小倉一郎に心を寄せる純情な女性を好演。小林桂樹が会社を解雇され、焼き鳥屋で呼び込みに苦心するシーンが印象に残る。同じ時期の作品と比較しても質の高いドラマが展開し「それぞれの秋」のムードを引き継いでいる。ただ物語の本質がどこにあるのかが今ひとつ明瞭でなく（むしろそれが魅力でもあるのだが）それゆえ、後半の結びが腰砕けになったのが惜しまれる。提供：キリンビール、レナウン、ライオン油脂、ネッスル日本。