井原西鶴の「日本永代蔵」の一部を、窪田篤人が現代ふうに書き直し、脚本とした風刺コメディー。高級マンションを経営する一家の財産をめぐる欲のはりあいを、人間プロダクションのユニット出演でおくる。「日本永代蔵」は、江戸時代の〝けち物語〟だが、この江戸時代の話が、人物をおきかえただけで現代にそっくりにあてはまり通じること、つまり科学時代で、大いに進歩したようにみえる現代の人間も、本能、性質の面で江戸時代から何の進歩もしていないこと、を痛烈に皮肉って描いていく。〝人間プロ〟は、長門裕之がリーダーとなり、さる10月１日設立した独立プロダクション。名称は〝人間を演じたい、人間を創造したい〟という目標からつけられた。今回が第１回ユニット出演。高級マンションを経営しているのに、自分はうすよごれたバラックに住み、朝から晩まで金をためることばかりに浮き身をやつしている朝倉イネ（轟夕起子）は、徹底した〝けちんぼ〟だった。そんなイネの生活態度をきらった長男の太郎（沢本忠雄）は、文化生活を求めて家を飛び出し、長女の弓子（加藤勢津子）も金を持ち出し逃げてしまった。だが、養子の一（はじめ・長門裕之）だけは違っていた。イネの意思通りけちに徹した毎日で、さらにそれを楽しんでいるようだ。そんなある日、イネがガンで死んでしまった。財産管理は一が責任を持つことになったが…。【以上、読売新聞1964/12/19付より引用】「人間プロのユニット出演で、長門の叔母にあたる轟夕起子や妹の加藤勢津子なども共演している。【この項、文：のよりん】。」【参考文献：読売新聞1964/12/19付】