2017年度「東京ドラマアウォード」連続ドラマ部門優秀賞受賞作品。「元自衛隊員の稲見朗（小栗旬）と、元公安の捜査員・田丸三郎（西島秀俊）が所属する公安機動捜査隊特捜班は、警察庁警備局長・鍛冶大輝（長塚京三）直轄の秘密部隊。 常識では計れない事件に脅かされる現代で、各分野のスペシャリスト５人が集結し、国家に危機をもたらす政治的事件やテロを秘密裏に捜査し、解決を図る。【この項、フジテレビ広報資料より引用】」「テレビドラマは時に時代の空気を映す鏡にもなる。その特質をひさびさに思い出したのは、４月期の『ＣＲＩＳＩＳ』を見てのことだ。あの『ＢＯＲＤＥＲ』（’14テレ朝、金城一紀原案・脚本）の主演（小栗旬）・脚本コンビの作品である。テロ特捜部の面々が国家の恐ろしい一面を知り、徐々に意識がテロリストに寄り添う側へ境界（ＢＯＲＤＥＲ）を越えていく様を描くというスリリングな作品であった。スリリングなのは内容だけでなく放送されたタイミングにおいても、であった。憲法改正の課題が提示され共謀罪（テロ等準備罪）が盛り込まれた法律がまさに成立しようとしていたその最中（さなか）に、国家が警察国家に変質していく危険性をとりあげたドラマが、民放のゴールデンタイムで平然と放送されていたことになる。巧みなのは、テレビ放送に求められる「公正中立」を維持していると主張できるところである。一面では国家の暴走の危険性を描きながらも、一方でテロリストが蔓延している中で警察官が危険を冒して潜入捜査をしなければ立件できない現行法の限界を見せて共謀罪にも一定の理があるかのようにも見せて描いている。これはかつて公安警察の暗闘を描いた佳編『外事警察』（’09ＮＨＫ）がとった手法と通じる。私はこの手法を一つの手法として受容するが、テレビドラマの作り手はもっと政治的なものやテロを助長するようなものについては慎重であるべきだとする向きからは眉をひそめられてしまうかも知れない。だとしても私は本作がテレビドラマの制約に一石を投じた意義は大きいと思うのだがいかがだろうか。このドラマがちょっと惜しまれるのは作劇面で物語の細部がやや大味で荒すぎるところがあることだ。だがそれはダイナミックな味わいを優先するため作り手が敢えて選んだ表現にも思える。【この項、文：古崎康成（雑誌「月刊「ドラマ」2017年８月号掲載より引用）】」【放送日時補足】第１回、最終回（第10回）は拡大版（火曜21:00～22:09）。【各回サブタイトル】第２回「暗殺の真相を暴け」、第３回「国会議員襲撃！平成維新軍の脅威」、第４回「要人警護の罠！特捜班VS暗殺者」、第６回「爆破テロ犯を追え！国家が隠す闇」、第８回「スパイの罠！決死の救出作戦」、第９回「最強の敵！特捜班、ついに崩壊へ」、最終回（第10回）「最後の決断！命を懸けた闘い」。【参考資料：webサイト「愛企画」内の「永池南津子」プロフィール（2021/11/29参照、http://www.ak-hb.jp/blank-6）】