1986年秋――。最愛の妻・マサコ(波瑠)が、急性骨髄性白血病により命を落として1年…。サブロー（藤原竜也）は絶望と悲しみのために心を病み、度々現れる幻覚に苦しんでいた。そして、その恐怖を振り払うかのようにギャンブルと酒におぼれていた。マサコと暮らしていたマンションを処分し、故郷の山口に帰ろうとしていた矢先、サブローは麻雀仲間の漫画家・黒上（阿部サダヲ）に「きみに会わせたい人がいる」といわれ、新宿の路地裏のバーへと連れて行かれる。薄暗いバーのいちばん奥の席で眠りこんでいたその人物こそ、直木賞作家にして「ギャンブルの神様」の異名を持つ「先生」（西田敏行）だった。先生は目覚めるとすぐ、サブローたちを怪しげな中華料理店に連れて行き、ラーメンやギョウザを猛烈な勢いで平らげ、また眠ってしまった。実は、先生は、自分の意思とは無関係に睡魔に襲われる「ナルコレプシー」という難病を患っており、目覚めて腹が減っていれば食事をするという生活を送ってきたため、ぷくぷくと太ってしまったらしい。「こんなにチャーミングな人を見たことがない」という黒上の言葉に、深くうなずくサブロー。先生をひと目見た瞬間から、サブローもその人柄に魅了され、不思議な安堵感を覚えていたのだ…。数日後、黒上とサブローは先生の家によばれ、有名ミュージシャンの井野（谷原章介）と共に雀卓を囲む。「雀聖」といわれる先生と打つ幸せに、興奮するサブロー。だがその夜、先生もまた幻覚に悩まされているという秘密を知り…。そんな中、サブローが地方の競輪場をはしごしながら故郷に帰るつもりだと聞いた先生は子どものように目を輝かせ、一緒に「旅打ち」に連れて行ってくれないかと頼んできた。先生もまた、心の闇を抱えるサブローに何かを感じ取っていたのだろうか…。こうして、サブローと先生の奇妙な旅がはじまった。愛知・一宮、愛媛・松山、新潟・弥彦…。ところかまわず眠ってしまう先生の病気にハラハラさせられつつも、サブローはいつしか離れがたい敬愛の念を抱くようになる…。だが、松山の名画座で偶然、マサコがかつて主演した映画のポスターを見かけたサブローは、また幻覚にひどく苛まれるようになり…。【以上、テレビ朝日広報資料より引用】撮影協力：弥彦競輪場、立川競輪場、日本トーター、交通科学博物館、共立蒲原総合病院、千葉国際中学校・高等学校、広島フィルムコミッション、呉市観光振興課、宮小路商店会、多摩川電気、大山千枚田保存会、太田屋、陣屋、松山市産業経済部　観光・国際交流課、松山市産業経済部道後温泉事務所、青物町商店会、うめのや、瀬戸内海汽船、マツゲキ、逗子フィルムコミッション、NPO法人フィルムコミッション富士、えひめフィルム・コミッション、弥彦神社、千葉県君津市、中野北口昭和新道商店街、新潟県フィルムコミッション協議会、JR西日本ロケーションサービス。取材協力：国立がん研究センター 造血幹細胞移植科　科長　福田隆浩、虎ノ門病院血液内科部長　谷口修一、睡眠総合ケアクリニック代々木　理事長　井上雄一、NPO法人日本ナルコレプシー協会　副理事長　河野通久、公益財団法人　日本対がん協会。協力：ビデオスタッフ、ザ・ホライズン、日本プロ麻雀連盟、ザ・チューブ、メディアハウス、イレブングラフィックス、ドルフィンズ、タカハシレーシング、グリフィス、レントシーバー、静岡朝日テレビ、フォーナイン、広島ダイヤモンドホテル、ホテル泰平、ホテル大阪ベイタワー。【役名（演技者）】「●藤原竜也…サブロー（西村三郎。最愛の妻を失ったばかりのＣＭディレクター）※モデルは伊集院静、●西田敏行…「先生」（作家・阿佐田徹也。本名は色川）※モデルは阿佐田哲也／色川武大、●阿部サダヲ…黒上（サブローが先輩と慕う漫画家）※モデルは黒鉄ヒロシ、●谷原章介…井野（ミュージシャン）※モデルは井上陽水、●余貴美子…マキコ（「先生」の友人である松山の老舗温泉旅館の女将）、●美波…フミコ（愛知県一宮市にある大衆食堂「ゑびす屋食堂」の店主）、●大杉漣…由比ケ浜の鮨屋の大将、●甲本雅裕…刈谷（「先生」に原稿を依頼する編集者）、●床嶋佳子…孝子（「先生」の妻）、●丘みつ子…絹（サブローの母。山口県防府市在住）、●波瑠…マサコ（夏美雅子。サブローの妻である女優）※モデルは夏目雅子、●宇梶剛士…伊佐次（松山の船宿「伊佐次丸」の主人）、●美保純…由比ケ浜の鮨屋の女将、●萩原聖人…小説家風の男（麻雀クラブ「柳」でサブローと麻雀をする仲間）、●石橋蓮司…芸術家風の男（麻雀クラブ「柳」でサブローと麻雀をする仲間）、●青木さやか…水商売風の女（麻雀クラブ「柳」でサブローと麻雀をする仲間）、●相島一之…サブローを担当する精神科医、●尾上紫…みち子（黒上の妻）、●青谷優衣…容子（サブローの妹）、●高橋ひとみ…「先生」の行き着けの新宿のバー「サンジェルマン」のマダム、●浅利陽介…麻雀クラブ「柳」でサブローの抜けた後、麻雀をする青年、●川村陽介…〔マサオ〕（通称「マサ」。マキコが従えている元・漁師の青年）、●小島武夫…〔カギヤマ〕？（マキコの麻雀の仲間）※競技麻雀のプロ雀士。日本プロ麻雀連盟初代会長・最高顧問、●野村修一…バー「サンジェルマン」の客（刈谷の飲み仲間）、●植木祥平…バー「サンジェルマン」の客（刈谷の飲み仲間）、●いいぐちみほ…新宿の怪しげな中華料理店の女将、●小田桐一…バー「サンジェルマン」の客（刈谷の飲み仲間）、●鹿出俊之輔…サブローと「先生」を乗せる大江戸タクシーの運転手、●足立学…バー「サンジェルマン」の客（刈谷の飲み仲間）、●大貫花子…フミコの祖母、●前田萌伽…新幹線の車内販売員、●田中緑…サブローの入った居酒屋のカウンター席の客、●原田一輝…公園でサッカーをしている少年。【この項、文：市村】」【データ協力：市村】